家庭医療と痛みの診察室

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経皮的迷走神経刺激は片頭痛を和らげ、脳神経回路をも変えるかもしれない。

片頭痛に対する経皮的耳介迷走神経刺激(taVNS):fMRIによる研究

Zhang Y, Huang Y, Li H, Yan Z, Zhang Y, Liu X, Hou X, Chen W, Tu Y, Hodges S, Chen H, Liu B, Kong J. Transcutaneous auricular vagus nerve stimulation (taVNS) for migraine: an fMRI study. Reg Anesth Pain Med. 2021 Feb;46(2):145-150. doi: 10.1136/rapm-2020-102088. Epub 2020 Dec 1. PMID: 33262253.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 片頭痛の病態生理の根底には、視床皮質接続ネットワークの機能障害があると考えられている。本研究では、片頭痛患者を対象に、4 週間の継続的経皮的迷走神経刺激(taVNS)治療を行った場合の視床皮質接続性の変化を調べることを目的とした。

方法

 70名の片頭痛患者を募集し、実際のtaVNS治療と偽のtaVNS治療を4週間受けるように等比で無作為に割り付けた。治療前後の安静時機能MRIを収集した。視床は、大脳皮質全体をカバーする6つの皮質ROIを事前に定義した上で、機能的関心領域(ROI)に分割した。さらに、治療後の各視床小領域と脳全体との間のシードベースの機能的接続性解析をグループ間で比較した。

結果

 試験を終了した59名の患者のうち、taVNS群では、4週間の治療後、片頭痛の日数、痛みの強さ、片頭痛発作の回数が、偽のtaVNS群と比較して有意に減少した。機能的接続性解析の結果、taVNS は運動関連視床サブ領域と前帯状皮質前頭前皮質との接続性を高め、後頭皮質関連視床サブ領域と後頭葉回・前頭葉回との接続性を低下させることが明らかになった。

結論

 本研究で得られた知見は、taVNSが頭痛の症状を緩和するだけでなく、片頭痛患者の視床皮質回路を変調させることを示唆している。この結果は、taVNSの神経機構を解明し、片頭痛患者の治療ターゲットとなる可能性を明らかにした。

キーワード:慢性疼痛、補完療法、経皮的電気神経刺激、治療成績

 

所感

 以前、片頭痛に対する迷走神経刺激の効果について記事を書きました。今回の研究では症状の緩和だけでなく、神経の回路そのものを変えるかもしれないことが示唆されました。迷走神経への刺激をおこなうために、下記の機器を使うことがあるようです。

 ただ高価な機械ですし、別の方法は無いかと考えていたところ・・・耳鍼にも迷走神経への刺激効果があると言われており、一定の効果があるかもしれません。

 

family-painclinic.hateblo.jp

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