家庭医療と痛みの診察室

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慢性顔面痛に対して大脳刺激療法が有効(メタアナリシス)

性神経障害性口腔顔面痛症候群における運動野刺激:システマティックレビューとメタアナリシス

Henssen D, Kurt E, van Walsum AVC, Kozicz T, van Dongen R, Bartels R. Motor cortex stimulation in chronic neuropathic orofacial pain syndromes: a systematic review and meta-analysis. Sci Rep. 2020 Apr 28;10(1):7195. doi: 10.1038/s41598-020-64177-z. PMID: 32346080; PMCID: PMC7189245.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 侵襲的運動皮質刺激(iMCS)は、その有効性には疑問が残るものの、1990年代に慢性神経障害性口腔顔面痛(CNOP)の治療のために導入された。しかし、CNOPは不均一な顔面痛疾患群であることが知られており、iMCSに対する反応が異なる可能性がある。そこで本論文では、(1)CNOPの異なる疾患間でiMCSの有効性が有意に異なるかどうか、(2)CNOPにおけるiMCSの結果に他の交絡因子が影響を与えているかどうかを検討した。

方法

 線形混合モデルを用いたシステマティックレビューとメタアナリシスを実施した。23の論文が含まれ、合計140名のCNOP患者を対象とした。

結果

 研究の不均一性は55.8%であった。視覚アナログ尺度(VAS)による疼痛緩和の中央値は66.5%(0-100%の範囲)であった。線形混合モデル分析の結果、三叉神経痛の患者は機能障害性疼痛症候群の患者に比べてiMCSの効果が有意に高いことが示された(p=0.030)。また、(上)核病変によるCNOPの患者は、三叉神経病変によるCNOPの患者に比べて、iMCSに対する反応がわずかに有意に良好であった(p = 0.049)。他の交絡因子は明らかにされなかった。

結論

 このメタアナリシスでは、三叉神経痛患者とCNOPの原因となっている(上)核病変患者は、他の患者に比べてiMCSで有意に良好な反応を示した。他の交絡因子の関連は認められなかった。

 

所感

 大脳皮質知覚領域や視床で異常な神経活動を起こし、疼痛を生じることがあります。この場合に運動野を電気刺激することで異常活動が抑制され疼痛が軽減するようです。

 

参照

https://nagoya-central-hospital.com/introduction/mcs.html