家庭医療と痛みの診察室

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歯ぎしりと慢性痛に効果的な治療法とは(システマティックレビュー)

歯ぎしりと慢性疼痛の管理における最新動向:システマティックレビューの概要

Bussadori SK, Motta LJ, Horliana ACRT, Santos EM, Martimbianco ALC. The Current Trend in Management of Bruxism and Chronic Pain: An Overview of Systematic Reviews. J Pain Res. 2020 Sep 30;13:2413-2421. doi: 10.2147/JPR.S268114. PMID: 33061557; PMCID: PMC7533232.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 歯ぎしり、特に睡眠時歯ぎしり(SB)は世界的に文献で議論されているテーマであるが、SBの治療のための標準的なアプローチを定義し、サポートするためのエビデンスは十分ではない。

目的

 歯ぎしりに関連した慢性疼痛を改善するための介入の効果を検討するシステマティックレビュー(SR)のエビデンスマッピングすること

方法

 SRの方法論的質はAMSTAR-2ツールを用いて評価した。2020年4月に以下のデータベースで包括的な文献検索を行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials、EMBASE、MEDLINE、LILACS、BBO、Epistemonikos。方法論の質が批判的に低いものから高いものまで、9つのSRが含まれていた。

結果

 主な調査結果を考慮すると、ボツリヌス毒素A型BTX-A)は、プラセボや従来の治療(行動療法、咬合スプリント、薬物)と比較して、6ヵ月後と12ヵ月後に、疼痛と歯ぎしりの頻度を有意に減少させた。咬合スプリントと筋マッサージを組み合わせた場合、痛みの軽減にはある程度の効果が認められた。バイオフィードバック療法と非活動的対照群との間には、疼痛やブルキシズムの頻度に差はなかった薬物療法については、アミトリプチリン、ブロモクリプチン、クロニジン、プロプラノロール、レボドパをプラセボと比較しても差はなかった

結論

 SBに関連した慢性疼痛の軽減には、咬合スプリント+マッサージ、BTX-Aの使用を支持するエビデンスがある。バイオフィードバック療法と薬物療法の推奨を支持するエビデンスは得られなかった。SBに対するさまざまな治療法の有効性と安全性について、より方法論的に厳密な無作為化臨床試験(RCT)を実施する必要がある。

 

所感

 歯ぎしりと慢性疼痛に対してボツリヌス療法、スプリント+マッサージ療法に効果があるようです。これまでのイメージと合った研究結果ですが、今後はこうした研究をもとに歯科等に紹介していこうと思います。