家庭医療と痛みの診察室

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腎疝痛に対してNSAIDs静注よりブロック注射が効果的(パイロット臨床研究)

重症腎疝痛に対する脊柱起立筋平面ブロックと非ステロイド性抗炎症薬の比較。パイロット臨床実現可能性研究

Aydin ME, Tekin E, Ahiskalioglu EO, Ates I, Karagoz S, Aydin OF, Ozkaya F, Ahiskalioglu A. Erector spinae plane block vs non-steroidal anti-inflammatory drugs for severe renal colic pain: A pilot clinical feasibility study. Int J Clin Pract. 2020 Oct 25:e13789. doi: 10.1111/ijcp.13789. Epub ahead of print. PMID: 33099855.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 超音波ガイド下平面ブロックは、オピオイドの消費量を減らすためのマルチモーダル鎮痛コンセプトの中で、ますます使用されるようになってきている。本研究では、腎疝痛患者を対象に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の静脈内投与と脊柱起立筋面ブロック(ESP)の鎮痛効果を比較した。

方法

 本プロスペクティブ無作為化試験では、腎疝痛患者40名を2群に無作為に割り付けた。NSAID群(n=20)にはデクスケトプロフェントロメタモール50mgを静注し、ESP群(n=20)にはT8レベルで0.25%ブピバカイン30mlを用いた超音波ガイド下ESPブロックを行った。患者の疼痛の重症度は,介入後,ベースライン,5,15,30,45,60分後に視覚アナログスケール(VAS)を用いて評価した。オピオイド消費量、患者の満足度、副作用を記録した。

結果

 ESP群では、術後5分、15分、30分、45分、60分後のVASスコアがNSAID群に比べて有意に低かった(P<0.001)。オピオイド消費量は、ESP群と比較してNSAID群で有意に高かった(それぞれ10/20 vs 0/20;P<0.001)。患者満足度はESP群で有意に高かった(P < 0.001)。

結論

 ESPブロックは急性腎疝痛の緩和のための代替的で効率的かつ安全な方法である可能性がある。

 

所感

 脊柱起立筋面ブロック(ESP)を詳しく知らなかったので調べて見たところ、下記の記事が非常に参考になりました。参考までにリンクを掲載させていただきます。

 腎疝痛(尿管結石)に対してブロック療法も効果的であり、NSAIDsの効果が無かった場合の手段の一つとしておさえておこうと思います。

 

peripheral-nerve-block.com