家庭医療と痛みの診察室

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センノシドも酸化マグネシウムも便秘に効く(無作為化比較試験)

慢性的な便秘の治療のためのセンナ対酸化マグネシウム。無作為化プラセボ対照試験

Morishita D, Tomita T, Mori S, Kimura T, Oshima T, Fukui H, Miwa H. Senna Versus Magnesium Oxide for the Treatment of Chronic Constipation: A Randomized, Placebo-Controlled Trial. Am J Gastroenterol. 2020 Sep 22. doi: 10.14309/ajg.0000000000000942. Epub ahead of print. PMID: 32969946.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

はじめに

 本試験は、慢性特発性便秘症に対する刺激性下剤の安全性と有効性を、浸透圧剤と比較して評価した初の前向き二重盲検無作為化プラセボ対照試験である。

方法

 刺激性下剤(センナ、1.0g)、浸透圧剤(酸化マグネシウム(MgO)、1.5g)、プラセボのいずれかを無作為に28日間連続投与した。一次エンドポイントは全症状の改善であった。副次評価項目は、自然排便(SBM)、完全なSBM、便秘のQOL(Quality of Life)の患者評価とした。

結果

 90人の患者(平均年齢42歳、女性93%、症状の平均持続期間9.9年)が登録され、全員が試験を終了した。全般的な改善の奏効率はプラセボ群で11.7%、センナ群で69.2%、MgO群で68.3%であった(P<0.0001)。SBMの変化は、センナ群とMgO群の方がプラセボ群よりも有意に大きかった(P<0.001)。同様に、完全SBMの変化は、センナ群とMgO群の方がプラセボ群よりも有意に大きかった(P<0.01)。便秘QOLの患者評価では、センナ群とMgO群でプラセボ群に比べて有意な改善が見られた(センナ、P<0.05、MgO、P<0.001)。重篤な治療関連有害事象の発生頻度は0%であった。

考察

 センナとMgOは、便通頻度とQOLスコアを有意に改善し、便秘の治療に有効であるように思われた。

 

所感

 痛みとは違う研究ですが、普段よく使う薬でしたので取り上げてみました。センノシド(プルゼニドなど)と酸化マグネシウムはどちらも便秘症に有効という研究です。まず酸化マグネシウム製剤を用いて、効果が乏しければ大腸刺激性のセンノシドという順序ですが、漢方薬が好きな僕としては緩下+腸管運動亢進の作用を持つ麻子仁丸を使うことが多いです。