家庭医療と痛みの診察室

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外傷後の頭痛に対してメトクロプラミド+ジフェンヒドラミンの静注が有効

急性外傷後頭痛に対するMetoclopramideとDiphenhydramineの無作為化試験

Friedman BW, Irizarry E, Cain D, Caradonna A, Minen MT, Solorzano C, Zias E, Zybert D, McGregor M, Bijur PE, Gallagher EJ. Randomized Study of Metoclopramide Plus Diphenhydramine for Acute Posttraumatic Headache. Neurology. 2021 Mar 24:10.1212/WNL.0000000000011822. doi: 10.1212/WNL.0000000000011822. Epub ahead of print. PMID: 33762421.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 救急外来における中等度または重度の急性外傷後頭痛に対して,メトクロプラミド20mg+ジフェンヒドラミン25mg(M+D)の静脈内投与がプラセボの静脈内投与よりも有効であるかどうかを検討する。

方法

 この無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を都市部の2つの救急診療所(ED)で実施した。

 対象は,頭部外傷を受け,10日以内に急性外傷後頭痛の基準を満たす頭痛を訴えて救急外来を受診した参加者とした。

 参加者は、M+Dとプラセボに1対1の割合で無作為に割り付けられた。参加者、介護者、結果評価者は、割り当てを盲検化した。

 主要評価項目は、ベースラインと治療後1時間の間の0-10スケールの痛みの改善であった。

結果

 本研究は2017年8月から2020年3月の間に終了した。414名の患者を参加対象としてスクリーニングし、160名を無作為化し、81名をM+Dに、79名をプラセボに割り付けた。ベースライン特性は両群間で同等であった。

 登録されたすべての参加者が主要なアウトカムデータを提供した。

 プラセボ群の平均改善度は 3.8(SD 2.6)、M+D 群は 5.2(SD 2.3)であり、メトクロプラミド群との差は 1.4(95% CI 0.7, 2.2, p<0.01)であった。

 有害事象は,メトクロプラミド投与群では 35/81 例(43%),プラセボ投与群では 22/79 例(28%)で報告された(15%の差の 95% CI: 1, 30%, p=0.04).

結論

 メトクロプラミド+ジフェンヒドラミンは、EDにおける外傷後の頭痛の緩和に関して、プラセボよりも効果的であった。

エビデンスの分類

 本研究は、中等度または重度の急性外傷後頭痛患者に対して、メトクロプラミド+ジフェンヒドラミンの静注が、プラセボと比較して痛みを有意に改善するというクラスIのエビデンスを提供するものである。

 

所感

 外傷後の頭痛に対してメトクロプラミド+ジフェンヒドラミンの静注が有効なようです。