家庭医療と痛みの診察室

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術後の疼痛管理に、ビタミンC静注投与が有用

周術期のビタミンCが術後の鎮痛剤消費に及ぼす影響について 無作為化比較試験のメタアナリシス

Hung KC, Lin YT, Chen KH, Wang LK, Chen JY, Chang YJ, Wu SC, Chiang MH, Sun CK. The Effect of Perioperative Vitamin C on Postoperative Analgesic Consumption: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Nutrients. 2020 Oct 12;12(10):3109. doi: 10.3390/nu12103109. PMID: 33053814; PMCID: PMC7600013.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 急性痛に対するビタミンCの鎮痛効果はまだ十分に検討されていないため,本メタアナリシスでは,術後の急性痛に対するビタミンCの有効性を検討することを目的とした。

方法

 PubMed,Cochrane Library,Medline,Google Scholar,Embaseなどのデータベースから,プラセボ/正常対照を含む7つの無作為化比較試験を抽出した。

結果

 プール解析の結果、疼痛スコアの低下(標準化平均差(SMD)=-0.68、95%CI:-1.01~-0.36、p<0.0001、I2=57%)およびモルヒネ消費量の低下(加重平均差(WMD)=-2.44mg、95%CI:-4.03~-0.86、p=0.003、I2=52%)が認められた。

 術後1~2時間では,ビタミン群はプラセボ群よりも痛みのスコアが低く(SMD = -0.65, 95% CI: -1.11 to -0.19, p = 0.005, I2 = 81%),モルヒネ消費量も少なかった(WMD = -6.74 mg, 95% CI: -9.63 to -3.84, p < 0.00001, I2 = 85%)。

 サブグループ解析では、ビタミンCの静脈内投与を受けた患者では、手術直後(1~2時間)および24時間後の痛みの重症度とモルヒネ必要量が有意に減少したが、経口投与のサブグループでは減少しなかった。

結論

 これらの結果は、痛みのスコアとオピオイド必要量がそれぞれ術後24時間まで有意に減少したことを示し、周術期のビタミンC使用の有効性を示唆するものであった。

 術後の疼痛管理において,ビタミンCの最適な静脈内投与量や慢性疼痛に対する有効性を明らかにするためには,さらなる大規模試験が必要である。

キーワード:鎮痛薬必要量、麻酔、手術、ビタミンC.

 

所感

 術後の疼痛管理に、ビタミンCを経口ではなく、静注投与することが有用なようです。