子どもの処置を痛くないようにするには?2020年版まとめ。
子どもの採血・血管確保・ワクチン接種時の苦痛緩和(解説)
Author:五十嵐 登(富山県立中央病院 小児科), 柿沢 由希子, 式庄 晃子, 藤澤 裕子
Source: 小児科 (0037-4121)61巻7号 Page1005-1012(2020.06)
文献概要
痛みは不快な感覚であると同時に情動体験として記憶され,痛みを増悪させること(中枢性感作)が知られている.痛みの診療では年齢を問わず心理的要因への配慮も重要である.
近年,子どもの発達を考慮したプレパレーションの手法が苦痛緩和法として広く実践されている.本稿では痛みが発達に及ぼす影響やCDCの推奨するワクチン接種時の疼痛軽減法を紹介し,併せて痛みを伴う医療処置一般の苦痛緩和のため,主に乳児期・幼児期を中心に年齢別プレパレーション・ディストラクションの要点,ならびに局所麻酔薬(エムラクリーム)の効果と課題について概説する.
所感
以前「赤ちゃんの痛みを和らげる方法」の記事で、サッキング(しゃぶらせる)やスワドリング(ブランケットでしっかり包み込む)などに効果があると紹介しました。
今回の論文ではガイドラインを参考にして、年齢別に次のような推奨事項が記載されています。「プレパレーション」とは年齢に応じて前もってこれから行う処置の情報を伝えること。「ディストラクション」とは処置から気を逸らす・紛らわせること。処置前後で連続しておこなうことが重要。
・乳児期 母親による抱っこ(ポジショニングも重要)、音の出るおもちゃを仕様
・幼児期前半(2~3歳) 接種部位の指圧法、「ちくっとするけどいーち・にーいで終わるよ」等のプレパレーション、絆創膏の自己選択
・幼児期後半(3歳~) 具体的に説明し子どもの納得を促す、お気に入りのグッズを自己選択して持参、好きなビデオを選んで見せる
・局所麻酔(エムラクリームやエムラパッチ) 自宅で塗ってきてもらう。20分ほどで効果を感じることもある。
みんなが笑顔になれるような処置をしたいものです。