家庭医療と痛みの診察室

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子どもの頭蓋骨骨折の診断に超音波検査は有用である(メタアナリシス)

小児の頭蓋骨骨折の診断のためのポイントオブケア超音波(POCUS)のエビデンスベース:システマティックレビューとメタアナリシス

Alexandridis G, Verschuuren EW, Rosendaal AV, Kanhai DA. Evidence base for point-of-care ultrasound (POCUS) for diagnosis of skull fractures in children: a systematic review and meta-analysis. Emerg Med J. 2020 Dec 3:emermed-2020-209887. doi: 10.1136/emermed-2020-209887. Epub ahead of print. PMID: 33273039.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 鈍性頭部外傷は、救急診療科(ED)への一般的な提示である。小児の頭蓋骨骨折は外傷性脳損傷(TBI)の危険因子として知られているため、頭蓋骨骨骨折を特定することは重要である。現在、CTは小児の頭蓋骨骨骨折とTBIを診断するための基準となっている。ポイントオブケア超音波(POCUS)で頭蓋骨骨折を特定することは、鈍的外傷後の小児のTBIのリスクを特定するのに役立つかもしれない。本研究の目的は、小児の頭蓋骨骨骨折を特定する際のPOCUSの感度、特異度、正の予測値、負の予測値を評価することである。

方法

 2020年7月17日にOvid Medline、Cochrane Library、Google Scholar、Web of Science、Embaseで系統的検索を行った。頭部鈍的外傷による18歳未満の小児の頭蓋骨骨骨折を超音波で診断したことを報告したプロスペクティブ研究を対象とした。CTで骨折を確認しなかった研究は除外した。研究の質はQUADAS-2ツールを用いて評価した。対象となる研究からデータを抽出し、感度や特異度などのアウトカムを算出し、可能な場合には総合的なアウトカムを算出した。

結果

 7件の研究が含まれた。対象となる研究はすべて、CTスキャンの実施が事前に決定された患者を含んでいた。全体的に、含まれた研究はバイアスのリスクが低いことを示したか、またはバイアスのリスクに関する懸念が軽微であった。プールされたデータ(n=925)は、感度91%、特異度96%、正の予測値88%、負の予測値97%であった。

結論

 含まれた研究では、方法論的な制限はわずかであることが示された。全体として、POCUSは頭部鈍的外傷後にEDを受診した小児の頭蓋骨骨骨折を診断するための有効な選択肢であることが示唆された。

キーワード CT/MRI;外傷;頭部;画像診断;小児救急医学;小児外傷;小児科;超音波

 

所感

 子どもが頭をケガした際にCTを撮るかどうか、PECARNなどの基準があります。ただ悪性疾患発症などのリスクもあるため、なるべくなら小児にCTは撮りたくないところです。プライマリケアで超音波検査をおこない、何か問題がありそうなら後方病院に紹介するといった使い方ができそうです。