家庭医療と痛みの診察室

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月経痛・月経随伴症状は性格などの内面も大きく影響している

月経痛・月経随伴症状と性格との関連性の検討

Author:加藤 真二(千倉治療院), 東野 友寛, 中村 真通
Source: 全日本鍼灸学会雑誌 (0285-9955)70巻2号 Page102-111(2020.05)

目的

 月経痛・月経随伴症状の成因の一つとして心理的要因が背景にあると考えられている。本研究では月経痛・月経随伴症状と性格について関連性を検討した。

方法

 インフォームドコンセントを得た月経のある女性を対象とした。年齢・身長・体重、月経痛の程度、月経随伴症状、性格について質問紙調査を実施し、月経痛・月経随伴症状と性格との関連についてスピアマンの相関分析を行った。

結果

 250名に質問紙を配布し166名から回答を得た。「神経質」は月経痛や月経随伴症状の複数因子、「抑うつ性」は月経随伴症状の複数因子との間に相関が見られた。この他「攻撃性」・「劣等感」・「非協調性」は月経随伴症状の負の感情因子との間に相関が見られた。

考察

 「神経質」・「抑うつ性」では、月経時に血行障害やセロトニン不足の影響を強く受けて症状が強くなるのではないかと考えた。また「攻撃性」・「非協調性」・「劣等感」における抑うつ的な側面が月経随伴症状の負の感情因子に影響を与えている可能性が考えられた。

結語

 「神経質」は月経痛や月経随伴症状の複数因子、「抑うつ性」は月経随伴症状の複数因子との間に相関が見られた。

 

所感

 神経質な人はストレスに対する反応も強いと考えられ、日頃から交感神経が優位な状態⇒副交感神経反射でプロスタグランジンが過剰に産生⇒月経痛等が増幅している可能性もあるとのこと。

 また抑うつ状態の人はセロトニンが不足していると言われています。セロトニンを上昇させると言われるエストラジオールは月経期で低下するため、月経期には抑うつ状態が悪化します。さらにセロトニンは下行性疼痛抑制系にも関与しているので、痛みも悪化させることになります。

 性格とホルモンの関連に着目することで、新たな視点を得ることができました。月経痛や月経随伴症状に対する治療をより良くするために、性格などの内面にも着目していきたいです。