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人工膝関節全置換術後の疼痛コントロールのための内転筋管ブロックと大腿神経ブロック

人工膝関節全置換術後の疼痛コントロールのための内転筋管ブロックと大腿骨神経ブロック。システマティックレビューとメタアナリシス

Hasabo EA, Assar A, Mahmoud MM, Abdalrahman HA, Ibrahim EA, Hasanin MA, Emam AK, AbdelQadir YH, AbdelAzim AA, Ali AS. Adductor canal block versus femoral nerve block for pain control after total knee arthroplasty: A systematic review and Meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2022 Aug 26;101(34):e30110. doi: 10.1097/MD.0000000000030110. PMID: 36042669; PMCID: PMC9410636.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 大腿神経ブロックは、オピオイド系鎮痛剤の使用量を減らし、入院期間を短縮できることから、広く受け入れられている神経ブロック法であるが、大腿四頭筋の筋力低下を引き起こす可能性がある。

 内転筋管ブロックは、大腿神経ブロックよりも可動性や筋力面で優れている可能性があり、現在注目されている神経ブロック法である。

方法

 膝関節全置換術後の疼痛コントロールとモビライゼーションに関して、大腿神経ブロックと内転筋管ブロックを比較することを目的とし、33の研究の系統的レビューとメタアナリシスである。

結果

 内転筋管ブロックは大腿四頭筋の筋力をよりよく保存し(MD = 0.28, 95% CI [0.11, 0.46], P = .002)、術後2日目までの可動性をよりよくすることが示された。

 しかしながら、術後2日までの疼痛コントロール(MD = 0.06, 95% CI [-0.06, 0.17], P = .33)またはオピオイド消費(SMD = 0.08, 95% CI [-0.06, 0.22], P = .28)に関する2つの介入間の有意差はみられなかった.

 内転筋管ブロックのより良い動員結果は,転倒のリスクや患者の満足度には有意差はなかった;

 しかし,内転筋管ブロック患者は,大腿神経ブロック患者よりも平均在院日数が少なかった.

結論

 大腿神経ブロックと内転筋管ブロックは、疼痛コントロールオピオイドの消費量に関して同様の結果が得られるが、内転筋管ブロックは大腿四頭筋の筋力とモビリゼーションの保存が良く、大腿神経ブロックよりも有利であった。

 

所感

 人工膝関節全置換術後の疼痛コントロールのために、大腿神経ブロックより内転筋管ブロックの方が良さそうです。

 

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