家庭医療と痛みの診察室

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線維筋痛症の治療に鍼治療が有効

線維筋痛症の痛み、疲労、睡眠、身体機能、こわばり、ウェルビーイング、安全性に対する鍼治療の効果。システマティックレビューとメタアナリシス

Zheng C, Zhou T. Effect of Acupuncture on Pain, Fatigue, Sleep, Physical Function, Stiffness, Well-Being, and Safety in Fibromyalgia: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Pain Res. 2022 Feb 3;15:315-329. doi: 10.2147/JPR.S351320. PMID: 35140516; PMCID: PMC8820460.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 線維筋痛症(FM)は、広範囲の疼痛を特徴とする症候群であり、経済的・社会的に大きな負担となっている。

 鍼治療は、慢性的な痛みを管理するためにしばしば使用される。しかし、FMにおける鍼治療の有効性については、まだ議論の余地がある。

 本研究は、FMにおける痛み、疲労、睡眠の質、身体機能、こわばり、幸福感、安全性に対する鍼治療の効果を系統的に検討することを目的とした。

方法

 PubMed、Embase、Cochrane Library、Wanfang Database、Chongqing Weipu、China National Knowledge Infrastructureなどのデータベースを、開始時から2021年9月まで検索した。対象は,FM患者に対する鍼灸治療の無作為化または準無作為化対照研究であった。定量的解析はRevMan 5.3ソフトウェアで行い、リスク評価はCochrane collaboration toolに従って実施した。安全性については定量的に分析した。

結果

 合計13件の論文が検索され、そのうち12件が定量的に分析された。メタ分析の結果、鍼治療は治療後の痛みを軽減し(SMD: -0.42, 95% CI, -0.66, -0.17, P<0.001, I2=58%)、幸福感を改善する(SMD: -0.86, 95% CI, -1.49, 0.24, P=0.007, I2=85% )ことが判明した。

 さらに、鍼治療は痛みの軽減(P=0.03)、幸福感の向上(P<0.001)にも長期的な効果を示した。

 鍼灸疲労、睡眠の質、身体機能、こわばりに効くという証拠は見つからなかった。

 鍼灸治療において、重篤な有害事象は検出されなかった。

結論

 中程度の質のエビデンスが、鍼治療がFM患者の痛みを軽減することを支持している。従って、鍼治療はFMの治療法として推奨される。

キーワード:鍼灸線維筋痛症、メタアナリシス、疼痛、システマティックレビュー。

 

所感

 線維筋痛症の治療に鍼治療が有効であり、重篤な有害事象は無かったようです。