家庭医療と痛みの診察室

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肩峰下滑液包と関節内注射では超音波ガイドが優れていないが、二頭筋溝では優れている

肩峰下滑液包と関節内注射では超音波ガイドが優れていないが、二頭筋溝では優れている。無作為化比較試験のメタアナリシス

Fan D, Liu X, Ma J, Zhang S, Sun J, Li Y, Jiang B, Zhang L. Ultrasound Guidance Is Not Superior In Subacromial Bursa And Intraarticular Injections But Superior In Bicipital Groove: A Meta-Analysis Of Randomized Controlled Trials. Arthroscopy. 2021 Dec 15:S0749-8063(21)01104-X. doi: 10.1016/j.arthro.2021.12.013. Epub ahead of print. PMID: 34921953.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 肩の痛みに対する超音波ガイド下(USG)注射とブラインド注射の臨床的・機能的成果を比較するメタ解析を行う。

方法

 データベース開設から2021年4月7日まで、Embase、Cochrane Library、PubMedの各データベースを検索した。

 臨床的・機能的アウトカムには、視覚的アナログスケール(VAS)疼痛スコア、外転、屈曲、米国肩肘外科医評価フォーム(ASES)スコア、コンスタントマーレーショルダー(CMS)スコア、肩痛・障害指数(SPADI)、肩障害質問票(SDQ)スコア、腕・肩・手の短縮障害(クイックDASH)スコアが含まれる。2値化されたアウトカムは、平均差(MD)および95%信頼区間(95%CI)で評価された。

結果

 USGとブラインド注射を比較した15件の研究が含まれた。

 盲検群とUSG群のVASスコアに有意差は認められなかった(MD 0.41 [-0.02, 0.84]; I2 = 79%; P = 0.06)。

 上腕二頭筋溝のサブグループ分析では、USG群は盲検群よりも痛みが少なかった(MD 1.50 [0.54, 2.46]; I2 = 64; P = 0.002)。

 USG注入群では、術後の外転(MD -3.08 [-5.19, -0.98], I2 = 0, P = .004) と屈曲(MD -3.36 [-5.56, -1.16]; I2 = 0; P = .003)が盲検群より良好であった。

 さらに、USG注入患者は盲検注入患者よりもCMSスコアが良かった(MD -12.95 [-25.60, -0.29]; I2 = 96; P = .04)。

 しかし、サブグループ解析では、CMSスコアの肩峰下滑液包と肩甲上腕関節に有意差は認められなかった(MD -13.22 [-29.93, 3.94]; I2 = 97; P<.0001).SPADI、ASESスコア、SDQスコアに群間有意差は認められなかった。

結論

 肩峰下滑液包と肩甲上腕関節への注射において、超音波ガイドは痛みや機能において優れていない。しかし、上腕二頭筋溝への注射は、やはりブラインド注射より疼痛緩和の点で優れている。

エビデンスレベル レベルII、メタA

 

所感

 肩峰下滑液包と肩甲上腕関節への注射において、超音波ガイドは痛みや機能において優れていないものの、上腕二頭筋溝への注射はブラインド注射より痛みの緩和に有効なようです。