家庭医療と痛みの診察室

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がん性疼痛に対する手首・足首への鍼治療の効果

手首・足首への鍼治療はがん性疼痛に効果がある:メタ解析による検討

Dong B, Lin L, Chen Q, Qi Y, Wang F, Qian K, Tian L. Wrist-ankle acupuncture has a positive effect on cancer pain: a meta-analysis. BMC Complement Med Ther. 2021 Jan 7;21(1):24. doi: 10.1186/s12906-020-03193-y. PMID: 33413347; PMCID: PMC7791657.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 手首・足首への鍼治療は、微小な鍼治療の一種として、がんの痛みの管理に用いられているが、がんの痛みに対するWAAの効果については、現在の研究では議論の余地があった。そこで、本メタアナリシスの目的は、手首足首の鍼治療(WAA)のがん性疼痛に対する効果を批判的に評価することであった。

方法

 データベースの開始から2020年7月までに、CNKI、Wanfang、VIP、CBM、Cochrane Library、PubMed、Embaseの7つのデジタルデータベースを検索した。包含基準および除外基準に適合する無作為化対照試験をスクリーニングして抽出し,Cochrane Collaborationの基準を用いてバイアスのリスクを評価した。

 主要評価指標は,疼痛緩和率および疼痛スコア,副次評価指標は副作用発現率とした。すべての解析はReview Manager 5.3で行った。

結果

 本メタアナリシスには、1005名のがん患者を対象とした計13件の研究(介入群:568名、対照群:437名)が含まれた。

 その結果、実験群(WAA / WAA + 薬物介入)は対照群(鎮痛剤介入)よりも鎮痛率が高く、その差は統計的に有意であった[RR = 1.31, 95%CI: 1.15 ~ 1.49, P < 0.01]。

結論

 WAAはがん性疼痛に対して一定の効果があり、WAAと薬物介入を併用することで、薬物療法のみの場合よりも優れた効果が得られる。

キーワード がん、メタアナリシス、疼痛、無作為化比較試験、手首足首の鍼治療

 

所感

 癌性疼痛に対して手首・足首への鍼治療が有効なようです。