家庭医療と痛みの診察室

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帯状疱疹による痛みに対してパルス高周波療法が効果的(メタアナリシス)

帯状疱疹性神経痛に対するパルスラジオ波の有効性。無作為化対照試験のメタアナリシス

Wu CY, Lin HC, Chen SF, Chang WP, Wang CH, Tsai JC, Lin YC, Kao Y, Tam KW. Efficacy of Pulsed Radiofrequency in Herpetic Neuralgia: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Clin J Pain. 2020 Nov;36(11):887-895. doi: 10.1097/AJP.0000000000000867. PMID: 32701526.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 帯状疱疹帯状疱疹後神経痛(PHN)は、現在の標準的な治療法に抵抗性があることが多く、患者のQoL(生活の質)を低下させる可能性がある。パルスラジオ波(PRF)は難治性の神経痛を効果的にコントロールする。本研究の目的は、システマティックレビューとメタアナリシスを実施し、PHN管理におけるPRFの有効性を評価することであった。

材料と方法

 PubMed、Embase、Cochrane Libraryで2019年10月までに発表されたランダム化比較試験(RCT)を検索した。主要アウトカムは、介入後の異なる時間間隔における疼痛レベルとレスキュー鎮痛であった。副次的転帰QoL と睡眠の質であった。

結果

 420人の患者が参加した6つのRCTをレビューした。メタ解析の結果、PRF群は2~3日後(加重平均差[WMD]=-2.82; 95%信頼区間[CI]:-5.08~-0.55)に対照群に比べてPHNの疼痛スコアが有意に低かったことが明らかになった。 55)、1週間(WMD=-2.95;95%CI:-4.53~-1.37)、2週間(WMD=-3.17;95%CI:-4.11~-2.23)、4週間(WMD=-2.59;95%CI:-3.40~-1.79)、8週間(WMD=-3.02;95%CI:-4.17~-1.88)、6ヶ月(WMD=-1.94;95%CI:-2.85~-1.03)の各時点で、対照群よりもPHN群の方がQoLが有意に高かった。介入後のQoLは、PRF群の方が対照群よりも有意に高かった。主要な合併症は報告されなかった。

考察

 PRFは安全かつ効果的に疼痛スコアを低下させた。PRFは頸部から腰部にかけての帯状疱疹患者において、安全かつ効果的に疼痛スコアを低下させ、QoLを改善した。PRFは難治性のPHN治療中に検討される可能性がある。今後の研究では、標準化されたPRFの設定と身体的・情緒的機能評価を含むアウトカム評価ツールが必要である。

 

所感

 パルス高周波療法(pulsed radiofrequency:PRF)は、42℃以下の比較的低温の高周波電流を間欠的(パルス状)に神経に与え、神経を刺激しながら痛みを軽減する方法です。PRFは周辺の温度が拡散して凝固が起こらないので、運動機能を温存した知覚低下が得られる点が特徴です。

 頚部神経根や腰仙部神経根で施行されることが多いのですが、帯状疱疹による痛みに対しても検討していきたいです。