急性腰痛症に対するケトロラクの有用性
急性で非関節性の腰痛に対するイブプロフェンとケトロラクとジクロフェナクの無作為化比較試験
Irizarry E, Restivo A, Salama M, Davitt M, Feliciano C, Cortijo-Brown A, Friedman BW. A randomized controlled trial of ibuprofen versus ketorolac versus diclofenac for acute, nonradicular low back pain. Acad Emerg Med. 2021 Jun 16. doi: 10.1111/acem.14321. Epub ahead of print. PMID: 34133820.
目的
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、急性腰痛症(LBP)の第一選択薬である。NSAIDの選択が転帰に影響するかどうかは不明である。我々は、急性で非関節性のLBPの治療において、イブプロフェン、ケトロラク、ジクロフェナクを比較した。
方法
本試験は3群間二重盲検比較効果試験で、筋骨格系LBPのED受診終了時に患者を登録し、5日後に電話で転帰を決定した。
患者は、イブプロフェン600mg、ケトロラク10mg、ジクロフェナク50mgのいずれかを5日間分、必要に応じて8時間ごとに使用するように無作為に割り付けられました。また、すべての参加者がLBPに関する教育を受けた。
主要評価項目は、ローランド・モリス障害質問票(Roland-Morris Disability Questionnaire:24項目からなる質問票で、スコアが低いほどLBPの機能的な結果が良好であることを示す)のEDから5日目までの改善であった。
副次評価項目は、痛みの強さ(「なし」、「軽度」、「中等度」、「重度」)、胃の不快感の有無などとした。
結果
合計868名の患者がスクリーニングされ、66名の患者が3つのアームそれぞれに登録された。ベースラインの特徴は類似していた。
5日目までのRMDQの改善度は、イブプロフェン9.4、ケトロラック11.9、ジクロフェナク10.9であった(p=0.34)。
5日目に軽度の痛みを感じなかったのは,イブプロフェンが61人中38人(62%),ケトロラックが59人中47人(80%),ジクロフェナクが62人中45人(71%,イブプロフェンとケトロラックの丸めた平均差17%の95%CI=1,33%,p=0.04,治療に必要な数=6[95%CI=3~69])であった。
胃の炎症はイブプロフェン投与群62名中16名(26%)で報告されたのに対し、ケトロラック投与群では61名中3名(5%)、ジクロフェナク投与群では64名中6名(9%)で報告された(p<0.01)。
結論
主要評価項目に関しては、各群間に重要な差はなかった。これらのデータは、ケトロラックがイブプロフェンよりも優れた鎮痛効果を発揮し、胃への刺激が少ないという可能性を否定するものではない。
キーワード NSAIDs, ジクロフェナク, イブプロフェン, ケトロラック, 腰痛.