家庭医療と痛みの診察室

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腰痛に対して皮内滅菌水注射が効く

救急科における腰痛に対する皮内滅菌水注射の有効性.プロスペクティブ,無作為化比較試験

Tekin E, Gur A, Bayraktar M, Ozlu I, Celik BK. The effectiveness of intradermal sterile water injection for low back pain in the emergency department: A prospective, randomized controlled study. Am J Emerg Med. 2021 Jan 20;42:103-109. doi: 10.1016/j.ajem.2021.01.038. Epub ahead of print. PMID: 33503531.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 腰痛(LBP)は救急科(ED)入院患者によくみられる筋骨格系の愁訴である。本研究では、慢性化が不明なLBP患者を対象に、全身療法と皮内滅菌水注射(ISWI)治療プロトコールを併用した全身療法の有効性を比較することを目的とした。

方法

 慢性化が不明なLBPのため救急外来に入院した患者を対象に、プロスペクティブな無作為化非盲検対照臨床試験を実施した。

 患者112名を2群に無作為に割り付け、ISWI群(n=56)では全身性デクスケトプロフェン静注療法とともにLBP領域にISWIを投与し、もう一方の群(n=56)では全身性デクスケトプロフェン静注療法のみを行った。

 入院時、10分後、20分後、30分後、24時間後にVisual Analog Scale(VAS)で疼痛強度を測定し、治療法の有効性を比較した。

 また、治療後24時間後のオピオイドおよび鎮痛剤の消費量と患者の満足度を比較した。

結果

 LBPの治療において、ISWI治療は全身療法単独よりも疼痛緩和効果が高いことが明らかになった(p<0.001)。

 また,ISWI群では,EDにおけるオピオイド消費量および治療後24時間以内の鎮痛剤消費量が減少していることが観察された(p<0.001)。

 また、EDにおける患者満足度は統計的に増加していた(p<0.001)。

考察

 この非盲検試験では、全身療法を併用したISWIは全身療法単独よりも疼痛転帰を改善した。これが完全にプラセボ効果によるものかどうかを判断するためには、さらなる研究が必要である。

キーワード 救急科;皮内滅菌水注射;腰痛;疼痛管理。

 

所感

 皮内滅菌水注射がどういうものか、本文が有料のため確認できませんでしたが、面白そうな治療法です。

 鍼治療を勉強していた際に、生食の皮下注射が効くと聞いたことがあり、似たようなものかもしれません。