家庭医療と痛みの診察室

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帝王切開後の術後痛に対する腹横面ブロックと腰方形筋ブロックの効果

帝王切開後の術後疼痛に対する腹横筋ブロックおよび腰方形筋ブロックの有効性-無作為化単盲検比較試験

Borys M, Potręć-Studzińska B, Kutnik P, Sysiak-Sławecka J, Rypulak E, Gęca T, Kwaśniewska A, Czuczwar M, Piwowarczyk P. The Effectiveness of Transversus Abdominis Plane and Quadratus Lumborum Blocks in Acute Postoperative Pain Following Cesarean Section-A Randomized, Single-Blind, Controlled Trial. Int J Environ Res Public Health. 2021 Jun 30;18(13):7034. doi: 10.3390/ijerph18137034. PMID: 34209465; PMCID: PMC8296943.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 帝王切開(CS)に関連する急性期の痛みの強さは広範囲に及ぶ可能性があり、しばしば過小評価されている。

 これは母親の生活の質や子供の成長に影響を与える可能性がある。

 腹横面ブロック(TAPB)や腰方形筋ブロック(QLB)などの局所鎮痛法は、帝王切開後の術後にその有効性が証明されている。

 しかし、TAPBとQLBの術後疼痛軽減効果を直接比較した研究は1件しかなく、QLBがTAPBよりも優れていることが明らかになった。

目的

 本研究では、CS後の術後急性痛の抑制における、横方向のTAPBとQLBの有効性を再評価することを目的とした。

方法

 脊椎麻酔下でCSを受ける単胎妊娠の女性197名を募集した。患者はCS後にTAPBまたはQLBを受けるように無作為に割り付けられた。

 術後の痛みは,術後2,4,8,12,24時間後にvisual analog scale(VAS)を用いて評価した。

結果

 術後の急性期の痛みの強さについては、両群間に有意な差は認められなかった。TAPBを受けた患者は、モルヒネの補充注射の要求が高かった(p < 0.039)。

結論

 今回の研究では,術後急性期の疼痛管理に関して,評価したどのregion blockも他のblockと比較して優位性を示さなかった。

キーワード:鎮痛,帝王切開,疼痛,腹方形筋ブロック,腹横面ブロック。

 

所感

 帝王切開後の術後痛に対して、腹横筋ブロックおよび腰方形筋ブロックが他のブロックと比較して優位というわけではないようです。