家庭医療と痛みの診察室

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術後疼痛に対して、冷却療法は害が少なく効果的

術後疼痛に対する冷却療法適用の効果:システマティックレビューとメタアナリシス

Muaddi H, Lillie E, Silva S, Cross JL, Ladha K, Choi S, Mocon A, Karanicolas P. The Effect of Cryotherapy Application on Post-operative Pain: A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Surg. 2021 Dec 2. doi: 10.1097/SLA.0000000000004987. Epub ahead of print. PMID: 34856580.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 閉創部への冷却療法の適用が術後疼痛およびオピオイドの消費を軽減するかどうかを系統的に検討し、メタ解析を行うこと。

背景

 術後の患者ケアにおいて、急性の痛みとオピオイドの使用量を減らすことは重要である。"冷却療法 "とは、治療目的のために低温を利用することを指す。

方法

 MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Online registries of clinical trialを2019年10月まで検索した。

 成人の手術切開部に対する冷却療法の術後適用を、冷却療法を行わない場合と比較して検討したRCTを対象とした。

 選択、抽出、バイアスリスクの評価は二重に行った。データはランダム効果メタアナリシスを用いて合成された。アウトカムは、術後疼痛、オピオイド使用、入院期間(LOS)、手術部位感染(SSI)であった。

結果

 51件のRCT(N = 3425人)が含まれた。中程度の確実性のエビデンスで、冷却療法を適用した患者は、冷却療法を適用しない場合に比べて、術後1日目(標準化平均差-0.50、95%CI -0.71~-0.29, I2=74%)および2日目(標準化平均差-0.63、95%CI -0.91~-0.35, I2=83%)の疼痛軽減を経験することが示された。

 エビデンスの確実性が中程度の場合、冷却療法はモルヒネミリ当量およびモルヒネミリ当量/kgで、それぞれオピオイド消費を減少させる(平均差-7.43、95%CI -12.42、-2.44、I2=96%)(平均差-0.89、95%CI -1.45、-0.33、I2=99%)。

 確実性の低いエビデンスではあるが、冷却療法は病院のLOSやSSIの発生率に影響を与えない。

結論

 冷却療法は、術後疼痛とオピオイドの消費を減少させる実用的で費用のかからない介入であり、SSI率や病院のLOSに影響を与えない。

 

所感

 術後疼痛に対して、冷却療法は害が少なく効果的なようです。