家庭医療と痛みの診察室

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腰痛に対して抗うつ薬はわずかに有効

腰痛に対する抗うつ薬の有効性、受容性、安全性:システマティックレビューとメタアナリシス

Ferraro MC, Bagg MK, Wewege MA, Cashin AG, Leake HB, Rizzo RRN, Jones MD, Gustin SM, Day R, Loo CK, McAuley JH. Efficacy, acceptability, and safety of antidepressants for low back pain: a systematic review and meta-analysis. Syst Rev. 2021 Feb 24;10(1):62. doi: 10.1186/s13643-021-01599-4. PMID: 33627178; PMCID: PMC7905649.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 抗うつ薬は、腰痛の症状を管理するために使用されている。

 しかし,腰痛に対する抗うつ薬の有効性,受容性,安全性については明らかではない。

 我々は,腰痛症に対する抗うつ薬の有効性,受容性,安全性を評価することを目的とした。

方法

 CENTRAL,MEDLINE,Embase,CINAHL,ClinicalTrials.gov ,EU Clinical Trials Register,WHO International Clinical Trial Registry Platformを開始から2020年5月まで検索した。

 LBPの成人被験者を抗うつ薬プラセボ薬の投与に振り分けたRCTの発表論文および試験登録報告書を対象とした。ペアの著者が独立して二重にデータを抽出した。

 参加者の特徴、研究のサンプルサイズ、結果の値、各結果の分散測定値を抽出した。

 ランダム効果メタアナリシスモデルを用いてデータを収集し、各結果に対する効果と不均一性の推定値を算出した。

 GRADEに基づいて、エビデンスの信頼性を判断した。

PRISMA声明に基づいて研究結果を報告した。

 プロスペクティブに登録されたプロトコールですべてのアウトカムを事前に規定した。

 主要評価項目は,痛みの強さと受容性であった。治療終了時の痛みの強さを0~100点満点で測定し、10点を臨床的に重要な最小の差とした。受け入れ可能性は、何らかの理由で治療を中止する確率と定義した。

結果

 23件のRCTをレビュー対象とした。痛みについては17試験、受容性については14試験でデータが得られた。

 抗うつ薬による治療は、プラセボと比較して、痛みの強さを0-100スケールで4.33ポイント(95%CI - 6.15 to - 2.50)減少させた。

 抗うつ薬による治療は、プラセボと比較して、何らかの理由で治療を中止する確率を増加させた(OR 1.27 [95% CI 1.03~1.56])。

結論

 抗うつ薬によるLBPの治療は、プラセボと比較して、痛みの強さのわずかな減少と、いかなる理由でも治療を中止するオッズの増加と関連している。

 痛みに対する効果は臨床的に重要ではない。受容性への影響は検討に値する。

 これらの知見は、臨床家がLBPを治療するために抗うつ薬を使用する際の指針となるレベルIのエビデンスを提供する。

試験の登録

 PROSPERO ( CRD42020149275 ) に本システマティックレビューのプロトコルをプロスペクティブに登録した。

キーワード 鎮痛剤、抗うつ剤薬物療法、腰痛、メタアナリシス、レビュー

 

所感

 抗うつ薬は腰痛に対してわずかに効果があるものの、治療を中断することも多いようです。