変形性膝関節症に対してヒアルロン酸より多血小板血漿の方が有効
変形性膝関節症の治療における多血小板血漿療法とヒアルロン酸の比較:メタアナリシス
Tang JZ, Nie MJ, Zhao JZ, Zhang GC, Zhang Q, Wang B. Platelet-rich plasma versus hyaluronic acid in the treatment of knee osteoarthritis: a meta-analysis. J Orthop Surg Res. 2020 Sep 11;15(1):403. doi: 10.1186/s13018-020-01919-9. PMID: 32912243; PMCID: PMC7488405.
背景
本研究は、変形性膝関節症の患者に対して、ヒアルロン酸(HA)注入と比較して、多血小板血漿(PRP)注入の臨床効果を評価することを目的としたものである。
方法
2020年1月23日にPubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryなどの電子データベースを系統的に検索し、英語で発行された関連研究を特定した。
変形性膝関節症(KOA)治療の有効性を評価するアウトカムは、1、3、6、12カ月後のWestern Ontario and McMaster Universities Arthritis Index(WOMAC)スコア(WOMAC痛み、機能、こわばり、合計スコア)、International Knee Documentation Committee(IKDC)スコア、Lequesne Indexスコア、Visual Analog Scale(VAS)スコア、EQ-VASスコア、およびKOOSスコアとした。プールされたデータはStata 12.0で解析した。
結果
今回のメタアナリシスでは、合計20のRCTが登録された。その結果,WOMAC疼痛スコアおよびVASスコアで評価した6ヵ月後および12ヵ月後の追跡調査において,多血小板血漿(PRP)注射はヒアルロン酸(HA)注射よりも効果的に疼痛を軽減することが示された。
PRP注射を受けた患者のEQ-VASは、12ヵ月後にはHA注射を受けた患者のEQ-VASよりも低かった。
さらに、WOMAC機能スコアで評価したところ、PRP注射を受けた患者は、HA注射を受けた患者よりも、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後の機能回復が良好であった。WOMACトータルスコアは、6ヵ月後と12ヵ月後の追跡調査で有意な差を示した。
IKDCスコアでは、3ヵ月後と6ヵ月後において、PRP注射がHA注射よりも有意に効果的であることが示された。しかし、Lequesne Indexスコア、KOOSスコア、有害事象については、群間で有意な差は見られなかった。
結論
関節内PRP注射は、KOAの治療において、短期的な機能回復の点でHA注射よりも効果的であると思われた。さらに、PRP注射は、長期的な痛みの緩和と機能改善の点で、HA注射よりも優れていた。さらに、PRP注射はHA注射に比べて有害事象のリスクを増加させなかった。
キーワード ヒアルロン酸、メタアナリシス、変形性関節症、多血小板血漿。