家庭医療と痛みの診察室

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肩峰下滑液包炎に対して、ヒアルロン酸や生食よりもコルチコステロイド注入が有効

慢性肩峰下滑液包炎の治療におけるコルチコステロイド注射とヒアルロン酸の比較。ランダム化比較試験

Hsieh LF, Lin YJ, Hsu WC, Kuo YC, Liu YC, Chiang YP, Wang CP. Comparison of the corticosteroid injection and hyaluronate in the treatment of chronic subacromial bursitis: A randomized controlled trial. Clin Rehabil. 2021 Apr 15:2692155211007799. doi: 10.1177/02692155211007799. Epub ahead of print. PMID: 33858205.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 慢性肩峰下滑液包炎(CSB)患者において、コルチコステロイド(CS)とヒアルロン酸(HA)の肩峰下-滑液包下(SAD)注射の効果を、通常の生理食塩水(NS)と比較して分析すること。

デザイン

 前向き三群二重盲検無作為化比較試験。

設定

 教育機関である2つの病院のリハビリテーション部門

被験者

 CSB患者(N=186)をCS群(N=68)、HA群(N=60)、NS群(N=58)に分けた。

介入の方法 超音波ガイド下で3回のSASD注射を行った:A群はトリアムシノロン20mg、B群はHA2.5mL、C群はNS2.5mL。

アウトカムの測定

 主要評価項目は,8週間後の痛みの視覚的アナログスケール(VAS)スコアであった。副次評価項目は、肩の痛みと障害の指標(SPADI)と肩の障害に関する質問票のスコアであった。

結果

 8週間後、活動時の痛みのVASスコアは、CS群、HA群、NS群でそれぞれ2.56±2.29、3.65±2.50、4.71±2.83であった(CS対NS、P<0.001、HA対NS、P=0.013、CS対HA、P=0.010)。

 SPADIスコアは、CS群、HA群、NS群で、それぞれ40.83±21.75、36.92±22.78、33.35±23.38であった(CS対NS、P<0.001、HA対NS、P=0.197、CS対HA、P=0.004)。

結論

 超音波ガイド下での肩峰下-滑液包へのコルチコステロイド注入は、CSBの治療に有効であり、ヒアルロン酸や生理食塩水の注入よりも優れていることが証明された。

 ヒアルロン酸注入は、通常の生理食塩水注入よりもわずかに効果的であった。

キーワード 肩峰下滑液包炎、コルチコステロイド、ヒアルロン酸、肩峰下インピンジメント症候群、超音波検査。

 

所感

 肩峰下滑液包炎に対して、ヒアルロン酸や生食よりもコルチコステロイド注入が有効なようです。