家庭医療と痛みの診察室

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線維筋痛症に栄養療法も効果があるかもしれない

線維筋痛症の管理における食事療法の介入。システマティックレビューとベストエヴィデンスの統合

Lowry E, Marley J, McVeigh JG, McSorley E, Allsopp P, Kerr D. Dietary Interventions in the Management of Fibromyalgia: A Systematic Review and Best-Evidence Synthesis. Nutrients. 2020 Aug 31;12(9):2664. doi: 10.3390/nu12092664. PMID: 32878326; PMCID: PMC7551150.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 線維筋痛症症候群(FMS)は、慢性的な広範囲の痛みに加え、疲労、睡眠の質の低下、多くの合併症を特徴とする。

 全世界の有病率は1.78%と推定されており、女性に多く見られる。

 線維筋痛症に対する治療介入の成功率は低く、多くの患者が食事やライフスタイルの改善を含む代替治療を求めている。

方法  

 線維筋痛症における食生活の改善の効果については、これまで広く研究・評価されていない。このシステマティックレビューでは、18件の無作為化対照試験(RCT)と4件のコホート研究を含む22件の研究が対象となった。

結果

 これらの研究では、合計で17種類の栄養学的介入が検討された。菜食主義者や低発酵性オリゴ・ジ・モノ・サッカライド・ポリオール(FODMAP)食を実践している人では、報告された痛みに有意な改善が見られた。

 クロレラ緑藻、コエンザイムQ10、アセチル-L-カルニチン、ビタミンCとビタミンEの組み合わせを摂取すると、痛みの測定値が有意に改善された。

結論

 これらの研究は、研究デザインの質が低いものが多く、研究間の異質性が大きく、サンプルサイズが小さく、バイアスが大きいため、解釈には限界があった。

 したがって、線維筋痛症の管理に特定の栄養介入を推奨するには十分な証拠がなく、さらなる研究が必要である。

キーワード:食事、線維筋痛症、筋骨格、栄養、痛み、リウマチ、睡眠。

 

所感

 線維筋痛症の患者さんに対して、栄養学的な対応をおこなうことでも痛みの緩和が見られたようです。