家庭医療と痛みの診察室

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慢性的な筋骨格痛に対する様々な治療方法の効果

慢性筋骨格系の痛み:非薬理学的、非侵襲的治療

Flynn DM. Chronic Musculoskeletal Pain: Nonpharmacologic, Noninvasive Treatments. Am Fam Physician. 2020 Oct 15;102(8):465-477. PMID: 33064421.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

概要

 慢性腰痛、首の痛み、変形性股関節症、膝関節症、線維筋痛症は慢性筋骨格系疼痛の最も一般的なタイプである。個々の治療法には一貫した効果がないため、慢性筋骨格系疼痛に対するマルチモーダルな治療アプローチが推奨される。

 多くの非薬理学的、非侵襲的な治療法では、少量から中等度の改善が得られ、薬理学的またはより侵襲的な治療法と併用することができる。

 慢性疼痛患者の疼痛と機能を改善するための様々な形態の運動の有効性は、系統的なレビューとガイドラインによって支持されている。

 認知行動療法とマインドフルネスの技法は、慢性腰痛の小~中程度の短期・長期的な改善に有効であるように思われる。認知行動療法は、線維筋痛症の小・中・短期的な改善にも有効である可能性がある。

 脊椎マニピュレーションは、慢性的な首や腰の痛みに対して小幅な効果をもたらす。

 鍼治療は腰痛に対しては小~中程度の効果があり、痛みを伴わない線維筋痛症の症状に対しては小程度の効果がある。

 マッサージや筋膜リリースは、腰痛、股関節と膝の変形性関節症、および線維筋痛症の小さな改善をもたらします。

 低反応レベルのレーザー治療は、慢性的な首と腰の痛みの短期的な救済を提供することがあり、超音波は変形性膝関節症のための短期的な痛みの救済を提供することがあります。

 慢性的な腰痛や線維筋痛症に対しては、集学的なリハビリテーションが短期的、少なくとも中期的な痛みや機能の改善に有効である。患者は、自分の好みやモチベーションに合わせて様々な治療法に従事するように奨励されるべきである。

 

所感

 慢性的な筋骨格痛に対しては単一の治療ではなかなか改善しないため、様々なアプローチを用いることが大切です。僕自身も内服、漢方、注射、鍼、ストレッチなど少しでも患者さんの体を楽にできるよう、色んなアプローチを勉強していきたいと考えています。