家庭医療と痛みの診察室

家庭医療と痛みの治療を中心に、調べたことや感じたことをアップしていきます。

姿勢が悪く頚部痛がある場合にモビライゼーションとエクササイズが効果的

器具を用いた軟部組織のモビライゼーションと神経筋の運動を組み合わせることにより、機械的頸部痛を持つ患者の前頭部の姿勢を矯正し、機能性を向上させることができる:無作為化比較試験

Mylonas K, Angelopoulos P, Billis E, Tsepis E, Fousekis K. Combining targeted instrument-assisted soft tissue mobilization applications and neuromuscular exercises can correct forward head posture and improve the functionality of patients with mechanical neck pain: a randomized control study. BMC Musculoskelet Disord. 2021 Feb 21;22(1):212. doi: 10.1186/s12891-021-04080-4. PMID: 33612123; PMCID: PMC7898422.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 本研究の目的は、機械的な頸部痛とそれに伴う前頭部の姿勢(FHP)を有する患者の機能性の改善に対して、器具を用いた軟部組織のモビライゼーション(IASTM)技術と頸部および胸部の神経筋運動を組み合わせて適用することの短期および中期的な効果を評価することであった。

方法

 首の痛みとFHPを持つ20人の患者を無作為に選び、ターゲットを絞ったIASTMと神経筋エクササイズの組み合わせ(グループA)、または古典的なマッサージと同じエクササイズの組み合わせ(グループB)のいずれかの治療セッションを8回受けた。治療期間中および治療後2週間と4週間に、頚椎角度(CVA)、頚椎の可動域(ROM)と筋力、痛み(視覚的アナログスケール-VAS)、頚部障害指数(NDI)を測定した。

結果

 IASTMと神経筋エクササイズの併用は、マッサージと同エクササイズの併用に比べて、CVA(グループA:+7,2 deg vs グループB:+1,1 deg)とNDI(グループA:-25,2 vs グループB:-5,8)の有意な改善に寄与した。いずれの介入も、短期的には頸部のROMと筋力を改善した。痛みについても、短期(グループAのVAS:-5,97 vs グループBのVAS:-3,1)と中期(グループAのVAS:-5,5 vs グループBのVAS:-1,5)の両方で、両グループとも有意に改善した。

結論

 IASTMと頸部・胸部のエクササイズを組み合わせることで、前向きな姿勢の適応が誘発され、頸部痛患者の機能状態を改善することができる。

 

 

所感

 頚部痛は姿勢の問題が大きく関与しており、モビライゼーションとエクササイズが効果的だったようです。