家庭医療と痛みの診察室

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肩の痛みに対してトリガーポイントへの圧迫が効果的(無作為化比較試験)

肩痛に対する手動トリガーポイント療法:有効性の無作為化比較試験

Sohns S, Schnieder K, Licht G, von Piekartz H. Manuelle Triggerpunkttherapie bei Schulterschmerzen : Randomisierte, kontrollierte Studie der Wirksamkeit [Manual trigger point therapy of shoulder pain : Randomized controlled study of effectiveness]. Schmerz. 2016 Dec;30(6):549-559. German. doi: 10.1007/s00482-016-0113-x. PMID: 27295296.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 慢性的な肩の痛みは非常に有病率が高く、筋膜性トリガーポイント(mTrP)は肩の不定愁訴を持つ患者の大半に見られると考えられているが、痛みのメカニズムへの影響は未だ不明である。手技的トリガーポイント圧迫療法の効果についての対照臨床研究は非常に少ない。

目的

 この無作為化比較試験(RCT)は、筋膜性症候群(MFS)による片側性肩痛を有する患者を対象に、手動トリガーポイント圧迫療法(n = 6)と手動シャム療法(n = 6)の短期的効果を比較した。

材料と方法

 測定データは、治療の2セッションの前後で収集した。片側性または全身性の痛覚過敏の可能性を検出するために、mTrPの圧痛閾値(PPT)と無症候性側の対称的に位置する点を中立点とともに測定した。さらに、安静時および運動時の痛みをビジュアルアナログスケール(VAS)で評価し、頸部障害指数(NDI)および腕、肩、手の障害(DASH)質問票も記入して評価した。

結果

 どちらの治療法も有意な改善をもたらしたが、手技によるトリガーポイント圧迫療法は偽療法と比較して、異なるパラメータで測定した場合、有意に効果的であった。

結論

 介入群では、直接治療を受けていない部位でもPPT値が有意に改善したことから、手動圧迫療法によって誘導される疼痛閾値の調節における中心的なメカニズムが示唆された。偽療法の効果が弱くても測定可能であることは、偽療法がハンズオンテクニックであること、または診断およびPPT測定中にトリガーポイント領域を十分に刺激したことによって説明できるかもしれない。

 

所感

 肩の痛みに対してトリガーポイントへの圧迫が効果的なようです。とは言っても、対象人数が少なく、対照群もそれなりに効果を認めていることから、より精度の高い研究が必要だと思われます。