家庭医療と痛みの診察室

家庭医療と痛みの治療を中心に、調べたことや感じたことをアップしていきます。

エコーを使って虚血圧迫法の効果を調べてみた(ランダム化比較試験)

超音波画像診断を用いた頸性頭痛および胸鎖乳突筋のアクティブトリガーポイントの弾性挙動に対する虚血性圧迫の効果

Jafari M, Bahrpeyma F, Togha M. Effect of ischemic compression for cervicogenic headache and elastic behavior of active trigger point in the sternocleidomastoid muscle using ultrasound imaging. J Bodyw Mov Ther. 2017 Oct;21(4):933-939. doi: 10.1016/j.jbmt.2017.01.001. Epub 2017 Jan 6. PMID: 29037651.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 虚血性圧迫が頸部原性頭痛の臨床転帰と筋膜トリガーポイントの弾性挙動に及ぼす影響を検討する。

デザイン

 ランダム化比較試験。

設定

 外来頭痛クリニック。

被験者

 胸鎖乳突筋内の筋膜性トリガーポイントに起因する頸動性頭痛を有する19人の被験者。

介入

 被験者は治療群(n=9)と対照群(n=10)に無作為に割り付けられた。治療群の被験者は、筋膜性トリガーポイント領域の虚血性圧迫を4回受けた。

主な測定

 頭痛の強さ、頻度、持続時間、トリガーポイント弾性率、トリガーポイント領域、圧迫耐性、圧痛閾値を治療前と治療後に評価した。

結果

 対照群と比較して治療群の被験者は、頭痛強度(P = 0.002)、頭痛頻度(P = 0.005)、頭痛持続時間(P = 0.015)、圧力耐性(P < 0.001)、圧痛閾値(P = 0.039)、および筋膜性トリガーポイント領域(P = 0.017)において有意な改善を示した。筋膜トリガーポイント弾性率の変化は有意水準に達しなかった(P > 0.05)。

結論

 アウトカム測定値の改善は、胸鎖乳突筋の筋膜性トリガーポイントに関連した頸性頭痛を有する被験者に虚血性圧迫が有効である可能性を示唆している。データは、MTRPの生体力学的特性と頭痛症状の重症度が直接関連しているわけではなく、他のメカニズムが症状に寄与する上でより影響力を持つ可能性があることを示唆している。

 

所感

 エコーを使って虚血圧迫法の効果を調べた論文です。胸鎖乳突筋のトリガーポイントが原因で頭痛を生じている人に、虚血圧迫法は効果があるようです。ただエコーではトリガーポイント領域や弾性率は変化が無かったようで、他のメカニズムが症状に関連していると述べられています。

 

※この文献における介入法について、別に記事にしております。

family-painclinic.hateblo.jp