家庭医療と痛みの診察室

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変性半月板損傷に対して、まずは手術よりも理学療法が良い。

変形性半月板損傷に対する保存的アプローチと外科的アプローチ:臨床エビデンスのシステマティックレビュー

Giuffrida A, Di Bari A, Falzone E, Iacono F, Kon E, Marcacci M, Gatti R, Di Matteo B. Conservative vs. surgical approach for degenerative meniscal injuries: a systematic review of clinical evidence. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2020 Mar;24(6):2874-2885. doi: 10.26355/eurrev_202003_20651. PMID: 32271405.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 変形性半月板症の管理における関節鏡手術と保存的治療の役割を比較することで、利用可能なエビデンスを分析する。

材料と方法

 2019年5月にPubMed、EMBASE、Scopus、PEDroデータベースで文献検索を行い、痛みはあるが安定している変性半月板の関節鏡手術と保存的管理を比較したすべての無作為化対照試験(RCT)を特定した。

 RCTの質は、Cochrane Risk of Bias Assessmentを用いて評価した。

結果

 1525人の患者を含み、保存的治療と関節鏡手術を扱った計10件の研究がこのレビューに含まれた。

 8件の研究では、運動療法の有効性が手術と比較され、1件の研究では、関節内ステロイド注射の有効性が手術と比較され、1件の研究では、プラセボ手術の有効性が半月板部分切除術と比較された。

 いずれの研究においても、膝の痛みや膝の機能に関しては、いずれのフォローアップ評価においてもグループ間の有意差は認められなかった。

結論

 ロッキングや引っ掛かりの症状を伴わない変性半月板損傷は、第一選択の治療として適切な理学療法を行うことで良好な管理が可能である。

 保存療法で効果が不十分な場合は、外科的アプローチを検討する必要がある。

 

所感

 ロッキングや引っ掛かりのない変性半月板損傷に対して、まずは理学療法をおこなうと良いようです。その上で効果が不十分な時に、手術というアプローチとなります。