家庭医療と痛みの診察室

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神経障害性疼痛にミノサイクリンが効果的

ミノサイクリンによる神経障害性疼痛の制御:ヒトを対象とした研究の系統的ナラティブレビュー

Shin DA, Kim TU, Chang MC. Minocycline for Controlling Neuropathic Pain: A Systematic Narrative Review of Studies in Humans. J Pain Res. 2021 Jan 26;14:139-145. doi: 10.2147/JPR.S292824. PMID: 33536779; PMCID: PMC7849188.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 ミノサイクリンはミクログリアの活性化を抑えることが知られており,神経因性疼痛を軽減する可能性が示唆されている。

 我々は,ミノサイクリンの神経障害性疼痛の軽減効果を評価したヒトでの研究をレビューした。

方法

 PubMed,Embase,Cochrane library,SCOPUSの各データベースで,minocyclineとpainという検索ワードを用いて,2021年01月06日以前に発表された論文を検索した。

 論文の選択にあたっては,(1)ミノサイクリンをヒトに投与したもの,(2)ミノサイクリンを神経因性疼痛の制御に投与したもの,を包含基準とした。

結果

 一次文献検索の結果、2299件の関連論文が得られた。タイトル、抄録、フルテキストの評価に基づき、9つの論文が本レビューに選ばれた。

 9件の研究のうち、ミノサイクリン投与後に痛みの軽減というポジティブな結果を示したのは4件のみであった。

 化学療法による神経因性疼痛を対象とした3件の研究のうち、2件で痛みの軽減効果が認められました。

 ミノサイクリンは、糖尿病性神経障害やハンセン病性神経障害の痛みの抑制に有効でした。しかし,腰椎椎間板ヘルニアの疼痛や手根管開放後の疼痛緩和には,ミノサイクリンは有効ではなかった。

結論

 今回のレビューでは、ミノサイクリンが神経障害性疼痛を軽減する可能性があることが示された。この可能性を検証するためには,さらに質の高い研究を行う必要がある。

キーワード:ミクログリア、ミノサイクリン、神経因性疼痛、疼痛、レビュー

 

所感

 抗生剤のミノサイクリンが、神経障害性疼痛に効果があるようです。実際に使用する場合には、どのような保険病名をつけるか悩ましいところですが。。。