家庭医療と痛みの診察室

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低分子ヘパリン注射後に冷やすと痛み等を和らげる(メタアナリシス)

低分子ヘパリン皮下注患者における疼痛・打撲に及ぼす冷感の影響:メタアナリシス

Wang H, Guan J, Zhang X, Wang X, Ji T, Hou D, Wang G, Sun J. Effect of Cold Application on Pain and Bruising in Patients With Subcutaneous Injection of Low-Molecular-Weight Heparin: A Meta-Analysis. Clin Appl Thromb Hemost. 2020 Jan-Dec;26:1076029620905349. doi: 10.1177/1076029620905349. PMID: 32372652; PMCID: PMC7370549.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的・方法

 低分子ヘパリン皮下注射後の疼痛・打撲に対する低温塗布の効果を評価するために、データベース開始から2019年6月までに8件の電子データベースを検索し、無作為化比較試験および準実験研究を実施した。異質性検定とメタアナリシスにはReview Manager 5.3ソフトウェアを使用した。参加者694人を含む合計8研究を分析した。

結果

 Verbal Descriptor Scale疼痛評価ツールで評価した寒冷剤投与群では、注射直後の疼痛強度の有意な低下が認められた。冷間塗布群は対照群と比較して、注射後12時間後、24時間後、48時間後に打撲の発生の減少が認められた。また、冷間塗布群では、注射後48時間後の打撲の発生面積に有意差はなかったが、注射後72時間後の打撲の発生面積は有意に減少していた。

結論

 以上の結果から,低分子ヘパリンの皮下注射後の疼痛や打撲の発生率を低下させ,注射後72時間後の打撲面積を減少させることが可能であることが示された。これらの知見を確認するためには、より大きなサンプルサイズの追加研究が必要である。

キーワード:打撲;コールドアプリケーション;注射;低分子ヘパリン;疼痛管理;皮下。

 

所感

 低分子ヘパリン注射は、抗凝固目的に様々なシチュエーションで用いられます。これまで特に意識したことはありませんでしたが、疼痛軽減目的に冷やすことは良さそうです。