家庭医療と痛みの診察室

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アセトアミノフェン経口より静注の方が、TKA後の入院期間を短くする(メタアナリシス)

人口膝関節全置換術後の疼痛と回復の補助としてのアセトアミノフェンの静脈内投与と経口投与の比較。システマティックレビューとメタアナリシス

Teng Y, Zhang Y, Li B. Intravenous versus oral acetaminophen as an adjunct on pain and recovery after total knee arthroplasty: A systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2020 Dec 11;99(50):e23515. doi: 10.1097/MD.0000000000023515. PMID: 33327295; PMCID: PMC7738014.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 人口膝関節全置換術(TKA)は、末期変形性関節症の治療法として徐々に浮上してきている。これまでもTKAにおける静脈内(IV)対経口アセトアミノフェン(APAP)治療は論争の的となっている。そこで、本研究では、TKA後の疼痛と回復に対するAPAPAPの静脈内投与と経口投与の有効性を評価するために、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。

方法

 Embase, Pubmed, Cochrane Libraryを網羅的に検索した。無作為化比較試験、コホート研究をメタ解析の対象とした。また、IV型APAPAP群と経口APAPAP群を比較した5件の研究をメタアナリシスに含めた。研究は、結果の信頼性と真実性を確保するために、システマティックレビューおよびメタアナリシス(PRISMAガイドラインの優先報告項目に従って報告された。

結果

 プールされた結果は、24時間後のVASスコア(P=0.67)、48時間後のVASスコア(P=0.08)、24時間後の総モルヒネ消費量(P=0.07)において、静脈内APAP群と経口APAP群の間に有意差は認められなかったが、入院期間(LOS)の長さ(P=0.0004)において有意差が認められた

結論

 24時間後、48時間後のVASスコア、24時間後の総モルヒネ消費量の点で、TKAを受けた患者において、経口APAPAPよりも静脈内APAPの方が優れていることは認められなかった。しかし、LOSを有意に低下させることができる。結論を出すためには、経口APAPとIV APAPの関係を検証する質の高い大規模な研究がまだ必要である。

 

所感

 アセトアミノフェンの静脈内投与と経口投与では、鎮痛効果の差はありませんが、静注だと入院期間が短くなるようです。入院期間の短縮はADL維持のためにも重要な観点ですね。