腱板断裂に対する多血小板血漿療法（PRP）の効果について（メタアナリシス）

腱板断裂の痛みと機能改善のための多血小板血漿療法。系統的レビューとバイアス評価を伴うメタアナリシス

Chen X, Jones IA, Togashi R, Park C, Vangsness CT Jr. Use of Platelet-Rich Plasma for the Improvement of Pain and Function in Rotator Cuff Tears: A Systematic Review and Meta-analysis With Bias Assessment. Am J Sports Med. 2020 Jul;48(8):2028-2041. doi: 10.1177/0363546519881423. Epub 2019 Nov 19. PMID: 31743037; PMCID: PMC7234896.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

　多くの臨床試験では、腱板関連の異常を治療するために多血小板血漿療法（PRP）を使用することが検討されている。いくつかのメタアナリシスが発表されているが、レベル1のランダム化比較試験のみに焦点を当てたものはない。

目的

　腱板関連の異常に対するPRPの有効性を評価し、特定の腱の関与、白血球の取り込み、およびゲル/非ゲル製剤の使用が疼痛および機能的転帰にどのように影響するかを評価すること。

研究デザイン

　システマティックレビューおよびメタアナリシス。

方法

　PRISMA（Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses）ガイドラインに従って文献をスクリーニングした。ベースライン、短期、長期のデータは、Constantスコア、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）スコア、疼痛、離床率、Simple Shoulder Test（SST）、American Shoulder and Elbow Surgeons（ASES）スコアについて抽出した。方法論の質を評価するために、100点修正コールマン方法論スコア（CMS）を使用した。ファネルプロットとEggerテストを用いて出版バイアスのスクリーニングを行い、感度分析を実施して潜在的な外れ値の影響を評価しました。

結果

　合計18件のレベル1研究が本レビューに含まれ、そのうち17件（1116人）が定量分析に含まれた。平均修正CMSは79.4±10.39であった。PRPを受けた患者のコンスタントスコアは、短期（加重平均差［WMD］、2.89［95％CI、0.89～4.90］；P＜0.01）、長期（WMD、2.66［95％CI、1.13～4.19］；P＜0.01）で有意に改善した。VASスコアは短期的に有意に改善した（WMD、-0.45［95％CI、-0.75～-0.15］；P＜0.01）。PRP治療患者の菅谷グレードIVおよびVのリテアは長期的に有意に減少した（オッズ比[OR]、0.34［95％CI、0.20～0.57］；P＜0.01）。

　複数の腱が断裂したPRP治療を受けた患者では、再断裂のオッズが減少した（OR、0.28［95％CI、0.13-0.60］；P＜0.01）。白血球が多いPRPを受けた患者は、白血球が少ないPRP群と比較して有意に良好なコンスタントスコアを示したが、VASスコアに差はなかった。PRPゲル療法を受けた患者は対照群と比較して高いConstantスコアを報告したが、PRP非ゲル療法を受けた患者ではVASスコアに差はなかった。

　白血球含有量に関係なく、リティアの長期オッズは減少しました（白血球の少ないPRP：OR、0.36 [95％CI、0.16-0.82];白血球の多いPRP：OR、0.32 [95％CI、0.16-0.65];すべてのP <.05）またはゲルの使用法（非ゲル：OR、0.42 [95％CI、0.23-0.76];ゲル：OR、0.17 [95％CI、0.05-0.51];すべてのP <.01）。

結論

　PRPを受けた回旋筋腱板関連異常患者では、長期再腱板率が有意に低下した。PRP治療を受けた患者では、複数の機能的転帰について有意な改善が認められたが、いずれも臨床的に重要な最小差には達しなかった。全体として、我々の結果はPRPが臨床転帰にポジティブな影響を与える可能性を示唆しているが、データが限られていること、研究の不均一性、方法論の質の低さから、確固たる結論は得られていない。