家庭医療と痛みの診察室

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リハビリによる牽引は腰椎の前弯を回復させる

腰部脊柱管狭窄症の回復:腰部疾患の治療において腰椎の前弯を増加させるためのカイロプラクティック・バイオ・フィジックス® (CBP®)の非外科的アプローチを利用した対照試験の系統的レビュー

Oakley PA, Ehsani NN, Moustafa IM, Harrison DE. Restoring lumbar lordosis: a systematic review of controlled trials utilizing Chiropractic Bio Physics® (CBP®) non-surgical approach to increasing lumbar lordosis in the treatment of low back disorders. J Phys Ther Sci. 2020 Sep;32(9):601-610. doi: 10.1589/jpts.32.601. Epub 2020 Sep 1. PMID: 32982058; PMCID: PMC7509154.

目的

 カイロプラクティック・バイオフィジックス®法による腰部伸展牽引を、(腰椎)前弯が少ない人や腰背部障害を有する者の腰椎前弯を増加させる目的で使用することについて、対照試験のエビデンスを系統的にレビューすること。

方法

 Pubmed, PEDro, CINAHL, Cochrane, ICL データベースで文献検索を行った。検索語は腰椎、腰痛、伸展牽引リハビリテーションに関連した反復を含む。

結果

 ランダム化試験2件と非ランダム化試験1件を含む4件の論文があった。試験では、30~36回の治療セッションを経て、10~12週間での前弯が7~11°増加したことが示された。ランダム化試験では、牽引治療を受けた群のほとんどが、6ヶ月後の追跡調査で前弯の矯正、痛みの軽減、障害の軽減を維持していることが示された。非ランダム化試験では、1.5年間の定期的なメンテナンスケアにより、前弯と痛みの強さが維持された。重要なことは、対照群と比較群では腰椎前弯の増加は認められなかったことである。ランダム化試験では、理学療法を受けた比較群では牽引を行わず、治療中に一時的に痛みが軽減したが、治療後3ヵ月でベースラインレベルに後退したことが示された。

結論

 リハビリテーションプログラムでの伸展牽引法の使用が腰椎前弯を確実に増加させることは、限られているが質の高いエビデンスによって実証されている。

 

所感

 生理的には腰椎は緩やかに前弯しています。しかし高齢者になるとその前弯が少なくなり、それが腰痛の原因になることもあります(図参照)。

 そこで牽引をおこなうと前弯が回復するというのが今回のレビューの結論です。今まで牽引の効果をあまり期待していなかったので、意識を変えていこうと思います。

 

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