家庭医療と痛みの診察室

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頚椎の牽引をおこなうと、前弯が大きくなり疼痛などが軽減する

頚椎症の治療における頚椎伸展牽引法による頚椎の前彎の回復:対照試験のシステマティックレビュー

Oakley PA, Ehsani NN, Moustafa IM, Harrison DE. Restoring cervical lordosis by cervical extension traction methods in the treatment of cervical spine disorders: a systematic review of controlled trials. J Phys Ther Sci. 2021 Oct;33(10):784-794. doi: 10.1589/jpts.33.784. Epub 2021 Oct 13. PMID: 34658525; PMCID: PMC8516614.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 脊柱管狭窄症や頸椎障害を持つ人の頸椎の前彎を増加させるための頸椎伸展牽引法の使用に関する文献を系統的にレビューする。

方法

 Pubmed, PEDro, Cochrane, ICLの各データベースで対照臨床試験の文献検索を行った。検索用語には,頸椎に関連する反復,頸部の痛みと障害,伸展牽引リハビリテーションが含まれていた。

結果

 最初に検索された1,001件の論文のうち,9件が除外基準を満たしていた。

 これらの試験では、15~60回の治療後、5~15週間かけてX線写真で測定した脊柱起立度が12~18°増加したことが示された。

 伸展牽引を受けていない対照群/比較群では、頚椎の前彎の増加は認められなかった。

 いくつかの試験では、牽引治療群と比較治療群の両方で、すぐに痛みが緩和されることが示された。

 牽引治療群は、1.5年後まで痛みと障害の改善を維持した。脊柱管狭窄症の改善を受けなかった比較治療群は、1年後の追跡調査までに症状が治療前の値に後退した。

結論

 脊椎リハビリテーションプログラムの一環として、伸展牽引により頚椎の前彎を増大させることで、疼痛や障害が軽減し、機能的指標が改善し、これらの改善が長期的に維持されることを実証した質の高い対照臨床試験がいくつかある。

 マルチモーダルなリハビリテーションを受け、伸展牽引を受けなかった比較群では、一時的な緩和が見られたが、治療を中止すると退縮する。

キーワード 頚椎の前彎、脊椎の牽引、システマティックレビュー

 

所感

 頚椎の牽引をおこなうことで頚椎の生理的前弯が大きくなり、疼痛や障害が軽減するようです。