家庭医療と痛みの診察室

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痛みを和らげ元気になるには、温泉に浸かりながら動いてみるのが効果的

2000年から2019年までの温泉療法と水中運動の無作為化対照試験に基づくメタアナリシスによるシステマティックレビューの概要

Kamioka H, Nobuoka S, Iiyama J. Overview of Systematic Reviews with Meta-Analysis Based on Randomized Controlled Trials of Balneotherapy and Spa Therapy from 2000 to 2019. Int J Gen Med. 2020 Jul 22;13:429-442. doi: 10.2147/IJGM.S261820. PMID: 32801839; PMCID: PMC7383020.

バックグラウンド

 本レビューの目的は、無作為化比較試験に基づくバルネセラピー(BT)とスパセラピー(ST)のメタ解析を伴うシステマティックレビューをまとめ、今後の研究の展望を示すことであった。

方法

 対象とした研究は、無作為化比較試験に基づくシステマティックレビューで、少なくとも 1 つのグループが BT または ST で治療された群を含むメタアナリシスを有するものとした。2000年から2019年11月20日までに英語で発表された論文を対象に、Cochrane Database Systematic Review、MEDLINE、CINAHL、Web of Science、Ichushi-Webを検索した。

結果

 18件の研究がすべての包含基準を満たした。国際疾病分類(ICD)-11に基づき、これら18研究のうち、「#15 筋骨格系または結合組織の疾患」については8研究(44%)、「#21 症状、徴候または臨床所見で、他に分類されていないもの」については5研究(28%)、「#11 循環器系の疾患」については4研究(22%)、「#8 神経系の疾患」については1研究(6%)であった。筋骨格系や結合組織の慢性疾患では、BTとSTの両方が有意な疼痛緩和とQOLの改善をもたらした。さらに、水の下での運動を伴うBTとSTは、疾患を超えて患者の体力と機能を改善した。

結論

 今後、疼痛緩和やQoLをキーワードに、様々な潜在的疾患の治療に関する研究が必要である。また、患者の症状や体力、障害によっては、水中での運動を行うことで、身体機能や体力に対する治療効果が向上する可能性がある。 

 

所感

 CareNetニュースより。温泉療法と水中運動のシステマティックレビューをオーバーユーした論文です。痛みに関しては入浴に水中運動をプラスしたか否か問わず有用。水中運動をおこなわず温泉に浸かるだけでは、体力や身体機能への有効性はほとんど無かったとのこと。

 痛みがあると動けなくなり、そのことで身体機能も低下していきます。温泉に入って更に水中で動くことにより、痛みも和らぎ身体機能も改善する良い手段の1つだと思います。

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