家庭医療と痛みの診察室

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痛くて運動できないという人に対しては色んなアプローチが大切(メタアナリシス)

筋骨格障害を原因とする運動恐怖症に対するマルチモーダル治療の効果. 系統的レビューとメタアナリシス

Xu Y, Song Y, Sun D, Fekete G, Gu Y. Effect of Multi-Modal Therapies for Kinesiophobia Caused by Musculoskeletal Disorders: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Environ Res Public Health. 2020 Dec 16;17(24):9439. doi: 10.3390/ijerph17249439. PMID: 33339263; PMCID: PMC7766030.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 本システマティックレビューおよびメタアナリシスは、筋骨格系疾患に起因する運動恐怖症に対する物理療法と心理療法を組み合わせたマルチモーダル療法の効果を、物理療法または心理療法のみのユニモーダル療法と比較して明らかにすることを目的とした。

方法

 検索語とその論理的結合は以下の通りである。(1)タイトルまたは抄録に "kinesiophobobia"、(2)タイトルまたは抄録に "randomized "または "randomized"、(3)タイトルに "design "または "protocol "ではなく、"randomized "または "randomized "とした。Medline (EBSCO), PubMed, Ovid のデータベースに入力し、これらのデータベースの異なる入力規則に従って入力した。資格基準は以下の通りである。(1)患者として筋骨格系疾患を有する成人、(2)介入として物理療法と心理療法を組み合わせたマルチモーダル療法、(3)比較として物理療法または心理療法のみのユニモーダル療法、(4)アウトカムとしてキネシオフォビアのTampa Scaleの17項目のスコア、(5)研究デザインとして無作為化比較試験、とした。

結果

 統計学的に有意なポーリング効果は6.99(95%CI 4.59~9.38)であった12の研究が組み入れられた。研究内での異質性が大きいにもかかわらず、全体解析および細分化解析の両方において、マルチモーダル療法は、物理療法または心理療法のみの単一モーダル療法よりも運動恐怖症の軽減に効果的である可能性がある。また、その効果は年齢とともに減少する可能性がある。さらに、Tampa Scale of Kinesiophobobiaのテスト・テスト信頼性を考慮することで、本レビューの数学的手法は実現可能であった。

キーワード:タンパ尺度、キネシオフォビア、マルチモーダル、痛み、心理的尺度。

 

所感

 痛みを恐れて体を動かしたくないという方は多くおられます。しかし体を動かさないとさらに痛みが増すという悪循環にもなりかねません。痛みに対しては単一の治療ではなく、色んな治療法を組み合わせることが良いと思います。