家庭医療と痛みの診察室

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テニス肘に蛭(ヒル)が効く?!

慢性外側上顆炎(テニス肘)に対する蛭(ヒル)療法の有効性:無作為化比較試験

Bäcker M, Lüdtke R, Afra D, et al. Effectiveness of leech therapy in chronic lateral epicondylitis: a randomized controlled trial. Clin J Pain. 2011;27(5):442-447. doi:10.1097/AJP.0b013e318208c95b

目的

 ヒル療法は、これまでの試験で変形性膝関節症や手関節炎に有効であることが判明している。慢性上顆炎は、治療法の選択肢が限られているため、蔓延している疼痛症候群である。本研究では、慢性側方上顆炎の対症療法にヒル療法が有効かどうかを検証した。

方法

 慢性側上顆炎の症状が1ヵ月以上持続する40人の患者を、2~4個のヒルを局所に塗布する単剤治療と、ジクロフェナク外用薬を30日間投与するコースに無作為に割り付け、主要評価項目は疼痛の総和の変化であった。主要アウトカムは、運動時、握力時、安静時の疼痛に関する3つのビジュアルアナログスケールから算出された7日目の疼痛総和スコアの変化であった。副次的転帰として、障害(腕、肩、手の障害質問票)、身体的生活の質(Short Form-36)、握力が含まれた。アウトカムと安全性は、-3日目、0日目、7日目、および45日目に評価された。

結果

 ヒルはジクロフェナク外用薬(131.6±29.6~134.7±70.7;平均差-49.0;95%信頼区間-82.9~15.1;P=0.0075)と比較して、7日目以降の疼痛スコアの低下が有意に大きかった(143.7±36.9~95.3±45.1)。45日目には、ジクロフェナクによる疼痛緩和が遅れたため、この群間差は縮小した(-27.5;信頼区間、-60.8-5.8;P=0.110)。機能障害は蛭子群でより強い低下を示し、45日後に最も顕著であった(P=0.0007)。生活の質はヒル群で有意ではなかった。結果はアウトカムの期待値には影響されなかった。

考察

 ヒル治療は短期的には疼痛の緩和に有効であり、中期的には障害の改善に有効であった。ヒルは側方上顆炎の治療アプローチにおける追加の選択肢として検討される可能性がある。

 

所感

 ヒルを使った治療があることを初めて知りました。調べてみるとヒルを使った治療は昔からあるようですね。外用薬よりも効果的とは恐るべしヒル

 でも実際の診察室で使うのは難しいかもしれません。。。

 

鬱血した組織に対する医療用ヒルの臨床応用 - 福島県立医科大学医学部整形外科学講座-Dept. of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University