家庭医療と痛みの診察室

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テニス肘の痛みには超音波療法が効果的(ただし限定的)

外側上顆炎に対する超音波療法の効果。メタアナリシス

Luo D, Liu B, Gao L, Fu S. The effect of ultrasound therapy on lateral epicondylitis: A meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2022 Feb 25;101(8):e28822. doi: 10.1097/MD.0000000000028822. PMID: 35212276; PMCID: PMC8878842.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 外側上顆炎は一般的な筋骨格系疾患であり、超音波療法は臨床で最も使用されている治療法の一つである。その効果は未だ不明であり、本論文ではメタアナリシスによりそれを解明することを目的とする。

方法

 Pubmed、Cochrane library、Embaseの各データベースで、2021年7月1日以前に発表された関連研究を検索した。連続変数は平均値の標準差を算出して比較し,カテゴリカルな二項変数は相対リスクで評価した。異質性統計量が有意な場合はランダム効果モデルを用い,そうでない場合は固定効果モデルを用いた。

結果

 442人(超音波治療患者287人、対照者155人)を含む13の研究が定量的解析に含まれた。VASスケールは超音波治療後に顕著に減少した(P = 0.027)。しかし、治療後のすべての時点において、超音波療法群と対照群との間に統計的な有意差は認められなかった。

 同様に、超音波療法による治療前と治療後の握力を比較した場合にも、利点は見つからなかった(P = 0.324)。

 さらに、超音波治療は常に長期間継続されるが、本研究では、短期と長期の結果を比較した場合、さらなる利点はないことが示された。

結論

 超音波療法は外側上顆炎患者の疼痛緩和に有用であるが、握力についてはそのような利点は見いだせなかった。安静や装具のような他の保存的治療と比較して、有意な利点はない。

 

所感

 外側上顆炎に対して超音波療法をおこなうと、痛みの緩和には有用だが、握力や長期的な利点はないようです。