家庭医療と痛みの診察室

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歯ぎしりには手技療法にキネシオテープの併用が有効

せん断波エラストグラフィを用いた歯ぎしり患者の治療におけるキネシオテーピングと手技療法の比較-無作為化臨床試験

Volkan-Yazici M, Kolsuz ME, Kafa N, Yazici G, Evli C, Orhan K. Comparison of Kinesio Taping and manual therapy in the treatment of patients with bruxism using shear-wave elastography-A randomised clinical trial. Int J Clin Pract. 2021 Sep 21:e14902. doi: 10.1111/ijcp.14902. Epub ahead of print. PMID: 34547165.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 歯ぎしりは、頭蓋顔面の痛み、顎の硬さや疲労感、首の痛みと大きく関連している。歯ぎしりの治療には様々な理学療法が用いられるが,どの方法がより痛みの減少につながるかは明らかではない。

目的

 本研究の目的は、歯ぎしりを持つ患者において、2つの理学療法法(手技療法[MT]および手技療法を伴うキネシオテーピング[KTMT])の効果を比較することである。

方法

 患者をMT群とKTMT群に無作為に割り付けた。評価は,ベースライン時と4週間の理学療法後に行った。筋の厚さと硬さはせん断波エラストグラフィで評価し、痛みの閾値はアルゴメータで評価した。睡眠の質はPittsburgh Sleep Quality Indexを用いて評価し、生活の質は関連する症状についてリッカート尺度で評価した。

結果

 MT群、KTMT群ともに、筋肉のこわばり、痛みの閾値、睡眠の質、生活の質に有意な低下が認められた(P < 0.05)。

 両側の側頭筋と僧帽筋の右後頭部の痛みは、MT群に比べKTMT群でより減少した(P < 0.05)。

 筋肉の厚さ(P>.05)は両群ともに有意な差は認められなかった。

結論

 MT法とKTMT法は、どちらも歯ぎしりの治療に有効であった。キネシオテープをMTと併用することで、MTのみの介入と比較して、顎の痛みと側頭部の痛みがさらに減少した。

 したがって、顎の痛みを主訴とする患者には、キネシオテープを理学療法の治療プログラムに加えることが推奨される結果となった。

 

所感

 歯ぎしりは色んな症状を引き起こすことがあります。その対応として、手技療法にキネシオテープを併用すると効果が増すようです。