亜鉛は放射線照射時の口内炎に効果的
癌患者の補完的治療としての亜鉛:システマティックレビュー
Hoppe C, Kutschan S, Dörfler J, Büntzel J, Büntzel J, Huebner J. Zinc as a complementary treatment for cancer patients: a systematic review. Clin Exp Med. 2021 May;21(2):297-313. doi: 10.1007/s10238-020-00677-6. Epub 2021 Jan 26. PMID: 33496846; PMCID: PMC8053661.
背景
亜鉛は、免疫系や細胞の成長に重要な役割を果たす微量元素である。
がん治療における亜鉛の役割については、以前から議論されてきたが、エビデンスに基づくコンセンサスは得られていなかった。
そこで、がん治療中の亜鉛の役割に関する既存のエビデンスを批判的に検討し、レビューすることを目的とした。
方法
2019年1月、5つの電子データベース(Embase、Cochrane、PsychINFO、CINAHL、PubMed)を検索して、がん患者に対する亜鉛療法の使用、有効性、および潜在的な害に関する研究を見つけるために、システマティックサーチを実施した。
5244件の検索結果のうち、23件の研究に関する19件の論文、1230人の患者がこのシステマティックレビューに含まれた。
亜鉛治療を受けた患者は、主に頭頸部がんと診断され、化学療法、放射線療法、放射線化学療法の同時併用療法を受けていた。
介入方法は、さまざまな量の亜鉛サプリメントの摂取と、経口亜鉛洗浄液だった。
結果
調査した結果(主要評価項目)は、粘膜炎、口腔乾燥、味覚障害、痛み、体重、皮膚炎、栄養物の経口摂取だった。
副次的評価項目は、生存率、QOL(生活の質)評価、疲労、免疫反応、亜鉛の毒性などだった。これらの研究は中程度の質で、さまざまな結果が報告された。
放射線治療後の粘膜炎に良い影響を与えた研究がある。
化学療法後の粘膜炎に対する予防効果は認められなかった。
亜鉛の代替により、味覚喪失、口渇、口腔内の痛みが軽減される傾向が見られた。体重、QoL測定値、疲労、生存率への影響は見られなかった。
亜鉛による副作用のリスクは比較的小さいと思われる。
結論
亜鉛は放射線照射時の口腔内毒性の予防に役立つ可能性がある。化学療法誘発性の副作用には役立たない。
キーワード 癌;補完医療;免疫系;栄養補助食品;副作用;亜鉛