舌痛症について
舌痛症~特集 みみ・はな・のどの外来診療 update - 知っておきたい達人のコツ26 -~
山村幸江. MB ENTONI 257: 74-78, 2021.
要約
舌痛症は器質的な異常がないにもかかわらず慢性的な舌の痛みや灼熱感を訴える病態で, 神経障害性疼痛の1つである.
ただし, 器質的要因が存在する二次性舌痛症のほうが実際は多い.
したがって, 舌痛の診療にあたってはまず二次性舌痛症の原因となる不良補綴物や歯牙鋭縁接触や口腔ジスキネジアによる物理的刺激, 紅斑性カンジダ症, 口腔乾燥症, 唾液分泌減少, ビタミンB群や鉄, 亜鉛欠乏症の十分な検索を行う.
器質的要因を伴わない狭義の舌痛症には神経障害性疼痛に対する薬物療法を行う.
ランダム化比較試験で有効性が認められた薬剤・用法にはパロキセチンやセルトラリンの経口投与, クロナゼパムの局所投与すなわち錠剤を口腔内の疼痛部位に3分間含んだのち吐き出すことを1日3回繰り返す方法がある.
漢方も選択肢の1つで, 加味逍遙散, 小柴胡湯, 柴朴湯, 黄連湯, 附子などは有効との報告がある.
所感
舌痛症に対して、まずは二次性の鑑別をおこなうことが大事です。カンジダを目標とした舌苔培養、貧血、血清鉄、亜鉛、ビタミンB12、葉酸の測定をおこない、口腔乾燥がないか唾液分泌量も確認します。
そうした二次性舌痛症でない場合、神経障害性疼痛として三環系抗うつ薬、SSRI、SNRIなどを用います。また局所療法として、クロナゼパム1mg錠を疼痛部位に3分間含んだのち吐き出すことを1日3回繰り返す方法は、ランダム化比較試験でも有意に疼痛強度が減少したようです。