膝の手術前に認知行動療法をおこなうと痛みが和らぐ

膝関節全置換術後の痛みを軽減し、痛みの結果を改善するための術前認知行動療法：無作為化臨床試験

Buvanendran A, Sremac AC, Merriman PA, Della Valle CJ, Burns JW, McCarthy RJ. Preoperative cognitive-behavioral therapy for reducing pain catastrophizing and improving pain outcomes after total knee replacement: a randomized clinical trial. Reg Anesth Pain Med. 2021 Jan 15:rapm-2020-102258. doi: 10.1136/rapm-2020-102258. Epub ahead of print. PMID: 33452201.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

はじめに

　認知行動療法（CBT）は術前の痛みを和らげ、術後の痛みの結果を改善する可能性がある。我々は、CBTはCBTなしの対照群よりも痛みを軽し、その結果、痛みの結果を改善するという仮説を立てた。

方法

　本研究は、2013年1月から2020年3月までの間に選択的に膝関節全置換術を受けた患者を対象とした無作為化比較試験である。

　第1相試験では、疼痛転化スコア（PCS）が16以上の患者80人を対象に、4週間または8週間の遠隔医療セッション、4週間の対面セッション、非CBTセッションにおける疼痛転化スコア（PCS）の変化を比較した。

　第2相では、80人の被験者を対象に、4週間の遠隔医療CBT後、Western OntarioおよびMcMaster Universities Osteoarthritis (WOMAC) pain subscale >4の3ヶ月間の減少を達成した被験者の割合を、非CBTの対照者と比較した。

結果

　第1相では、4週間の遠隔医療CBTが最も高い完了率17/20（85％）を示し、非CBTと比較してPCSの調整中央値が-9（95％CI-1～-14、p<0.01）減少し、8週間の遠隔医療CBTと比較して2の差で劣っていなかった（p=0.02）。

　第2相試験では、4週間CBT群と非CBT群でPCSの中央値が-6（-10～-2、p=0.02）減少したにもかかわらず、4週間CBT群では35人中29人（83％）、非CBT群では33人中26人（79％）が3ヵ月後にWOMAC疼痛サブスケールが4以上減少し、差は4％（95％CI -18～26％、p=0.48）であった。