家庭医療と痛みの診察室

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慢性腰痛にラジオ波焼灼術は効果が少ない

慢性腰痛に対する高周波焼灼術:システマティックレビューとメタアナリシス

Chappell ME, Lakshman R, Trotter P, Abrahams M, Lee M. Radiofrequency denervation for chronic back pain: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2020 Jul 21;10(7):e035540. doi: 10.1136/bmjopen-2019-035540. PMID: 32699129; PMCID: PMC7375436.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 慢性腰痛の管理のための腰椎解剖学的ターゲットのラジオ波除神経(RD)の有効性を評価すること。

デザイン

 無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューとメタアナリシス。

方法

 慢性腰痛の管理のための研究開発のプラセボまたは無治療の対照試験について、2014年1月から2019年4月までにデータベース検索(Medline、Medline in Process、Embase、CINHAL、コクラン図書館)を行った。

 対象となった試験は、コクランリスクオブバイアスツール(Cochrane Risk-of-Bias Tool)を用いて質の評価を行い、アウトカムの質はGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluations)アプローチを用いて評価した。

 治療後の疼痛スコアの平均差(MD)を算出するためにメタアナリシスを実施した。

結果

 19のRCTがレビューに含まれた。仙腸関節のRDによる短期的な疼痛緩和(1~3ヵ月)はあるようであるが(5件の試験、MD -1.53、CI -2.62~0.45)、椎間板のRD(4件の試験、MD -0.98、CI -1.84~0.12)、プラセボ効果は大きく、追加介入効果の大きさは小さい(11点(0~10)Pain Scaleで1未満)。

 長期的な有効性(6ヵ月以上)は不明である。

結論

 選択された腰椎ターゲットのRDは、慢性腰痛患者の管理に少量で短期的なプラスの効果があるようである。しかし、大部分のアウトカムに関するエビデンスの質は低いか、非常に低いものであり、特に効果の持続期間についてはまだある程度の不確実性がある。

キーワード:腰痛、神経学、疼痛管理、リウマチ学

 

所感

 慢性腰痛の患者に対するラジオ波神経焼灼術は、それほど大きな効果はないようです。