家庭医療と痛みの診察室

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45度の熱を加えると、5分以内に腰痛が和らぎ2時間は持続する。

慢性腰痛モデルにおける温熱鎮痛の特性

Chabal C, Dunbar PJ, Painter I, Young D, Chabal DC. Properties of Thermal Analgesia in a Human Chronic Low Back Pain Model. J Pain Res. 2020 Aug 13;13:2083-2092. doi: 10.2147/JPR.S260967. PMID: 32884334; PMCID: PMC7434528.

目的

 長年、熱は快適さのために使われ、多くの臨床ガイドラインでは第一選択療法として鎮痛が推奨されてきた。しかし、慢性腰痛と同じくらい一般的な状態に対する温熱の実際の有効性や、発症時期、最適温度、効果の持続時間などの要因については疑問が残っている。

材料と方法

 無作為化二重盲検比較試験では、長年の腰痛を持つ被験者を対象に、45℃のパルス温熱(実験群、N=49)と37℃の定常温熱(対照群、N=51)の鎮痛反応を比較するように設計された。処置は30分間行われ、4時間後に追跡調査が行われた。仮説として、実験群は対照群に比べて高い鎮痛効果が得られるとした。発症時間と効果の持続時間も測定した。

結果

 疼痛の平均持続時間(10.3年)は両群とも同程度であった。主要アウトカム指標は、10点満点の疼痛尺度を用いて、治療終了後30分後の疼痛の軽減であった。疼痛の軽減は対照群よりも実験群の方が大きかった(平均軽減度の差=0.72、95%CI 0.15-1.29、p=0.014)。疼痛レベルの統計学的に有意な差は、治療開始5分後の最初の測定から治療終了後120分後までに観察された。疼痛に関連した運動の減少は、プラセボ群よりもアクティブヒート群の方が大きかった(p = 0.04)。

結論

 高レベルのパルス熱(45℃)は、主要エンドポイントおよび治療後2時間の間、37℃の定常熱と比較して有意に高い鎮痛効果を示した。鎮痛の発現は急速で、治療後5分以内であった。本試験の結果は、慢性腰痛モデルでは十分に理解されていない温熱鎮痛のメカニズムと特性についての洞察を提供するものである。

 

所感

 腰痛に対して45度の熱を加えると、痛みが和らぐようです。熱を加えて5分以内には鎮痛効果が発揮され、2時間は持続するようであり、施術をおこなう際に意識したいと思います。