NSAIDsの慢性投与で痛みを感じやすくなるかもしれない
NSAIDs、オピオイド、カンナビノイドと中枢神経系による痛みのコントロール
Vanegas H, Vazquez E, Tortorici V. NSAIDs, Opioids, Cannabinoids and the Control of Pain by the Central Nervous System. Pharmaceuticals (Basel). 2010 Apr 29;3(5):1335-1347. doi: 10.3390/ph3051335. PMID: 27713305; PMCID: PMC4033984.
文献要約
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、末梢組織および中枢神経系に作用して鎮痛をもたらす。NSAIDsの主要な中枢標的は下行性疼痛抑制系である。下行性疼痛抑制系の吻側構造は、脊髄に向けてインパルスを送り、痛みのメッセージの伝達を制御する。下行性疼痛抑制系の主要な構造は、髄質周囲灰白質(PAG)と延髄(RVM)であり、どちらも内因性オピオイドやオピエート医薬品の重要な標的である。
NSAIDsはまた、PAGおよびRVMに作用して鎮痛を生じさせ、繰り返し投与されると、それ自体に対する耐性およびオピオイドに対するクロストレランスを誘導する。実験的証拠は、これが下行性疼痛抑制系に沿った内因性オピオイドとNSAIDsの相互作用によるものであることを示している。下行性疼痛抑制系に沿ったNSAIDsによる鎮痛もまた、CB1エンドカンナビノイド受容体の活性化を必要とする。いくつかの実験的アプローチは、PAGおよびRVMにおけるオピオイド、NSAIDsおよびカンナビノイドが協力してGABA作動性阻害を減少させ、その結果、疼痛を抑制するインパルスの下行性フローを減らすことを示唆している。
所感
NSAIDsの慢性投与によって、中枢性疼痛抑制システムが活性化されにくくなるという研究です。プライマリケアの雑誌に文献が紹介されており、始めて知りました。
NSAIDsを中止することで慢性疼痛が改善する例もあることから、胃腸障害などの副作用もあるし、思い切って止めてみるという選択も大事だと思いました。
松浦広昂:慢性疼痛に対するリハビリテーション治療のポイント. プライマリ・ケアVol5:30-36, 2020