高齢者のQOL、抑うつ症状の改善に太極拳が良さそう(システマティックレビュー)
慢性疾患を持つ地域居住高齢者における生活の質、抑うつ症状、身体機能に対する太極拳の効果。システマティックレビューとメタアナリシス
Choo YT, Jiang Y, Hong J, Wang W. Effectiveness of Tai Chi on quality of life, depressive symptoms and physical function among community-dwelling older adults with chronic disease: A systematic review and meta-analysis. Int J Nurs Stud. 2020 Aug 1;111:103737. doi: 10.1016/j.ijnurstu.2020.103737. Epub ahead of print. PMID: 32891966.
背景
高齢化が急速に進み、世界的に慢性疾患が蔓延する中、高齢者はより多くの身体的・心理的負担に直面しており、生活の質(QoL)に影響を与えていると言われています。中国の伝統的な心と体の運動である太極拳は、多くの高齢者にとって魅力的なものであり、広く研究されてきた。しかし、地域に住む高齢者のQoL、抑うつ症状、身体機能に対する太極拳の有効性については、まだ漠然としたものである。
目的
慢性疾患を持つ地域居住高齢者の QoL、抑うつ症状、身体機能に対する太極拳の効果を総合的に評価する。
方法。検索は 7 つのデータベース(PubMed, Embase, Cochrane, CINAHL, Scopus, ProQuest, CNKI)で系統的に行われた。英語または中国語で書かれたランダム化比較試験(RCT)のみが含まれた。資格のあるすべての研究は、2人の独立したレビュアーによってバイアスのリスクを調べた上でスクリーニングされた。メタアナリシスは RevMan 5.3 ソフトウェアを用いて実施し、メタアナリシスが不適切で不均一性がある場合には物語的合成を実施した。
結果
合計3416件の記録が生成され、13のRCTが対象となった。メタアナリシスでは、QoLと抑うつ症状に対する太極拳の効果は統計学的には小さいものの優位な差を認めた。運動能力と身体機能の持久力には統計的に有意な差は見られなかった。大部分が高い不均一性を有していたため、所見は慎重に解釈されるべきである。
結論
太極拳は、慢性疾患を持つ高齢者のQoLと抑うつ症状に好ましい効果があり、疾患管理の補完的な役割を果たすことがわかった。しかし、今後の研究では、理論的な枠組みを探求し、より大きなサンプルサイズで質の高い研究を行うように改善することができる。
所感
太極拳は高齢者のQOLと抑うつ症状に効果があるというレビューです。太極拳にしてもヨガにしても、まずは自分が始めてみて患者さんに勧めてみたいと思います。