家庭医療と痛みの診察室

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経穴注射の効果はハッキリしない(メタアナリシス)

非特異的慢性腰痛に対する経穴注射:無作為化対照研究の系統的レビューとメタアナリシス

Xie G, Wang T, Tang X, Guo X, Xu Y, Deng L, Sun H, Ma Z, Ai Y, Jiang B, Li L, Luo W, Huang W, Xia Y, Zhao H, Wang X, Guo Y, Liao J. Acupoint Injection for Nonspecific Chronic Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Studies. Evid Based Complement Alternat Med. 2020 Oct 28;2020:3976068. doi: 10.1155/2020/3976068. PMID: 33193795; PMCID: PMC7641697.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

はじめに

 非特異的慢性腰痛(NCLBP)は公衆衛生と経済的な問題となった。非特異的慢性腰痛(NCLBP)の患者には経穴注射が広く用いられてきたが、その有効性については一貫性がない。しかし、これらの患者に対する有効性については一貫性のない結果が得られていた。そこで、本レビューでは、経穴注射の有効性と安全性を体系的に評価することを目的とした。

材料および方法

 文献情報源は、EMBASE、Medline、CENTRAL、CINAHL、CNKI、VIP、Wanfang、Sino-Med Databaseを介して、開始から2019年10月13日までに収集した。文献情報源の管理とスクリーニングには、広く使用されている文書管理ソフトウェア「Endnote X7」を使用した。各レコードは、2人のレビュー執筆者が独立して、あらかじめ設定した包含基準に従ってスクリーニングを行った。品質評価ツール「Risk of table」を用いて、Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsの勧告に従って、含まれる研究の品質を評価した。データ抽出は 1 名のレビュアーが行い、別のレビュアーが検証した。意見の相違があれば、上記のプロセスで第三のレビュアーに相談して対応した。すべての手順は Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions に従った。

結果

 本レビューには、NCLBP患者1381人を対象とした13の研究が含まれていた。定量的分析の結果、2つの試験に基づいて、腰痛患者の疼痛を鍼灸注射で改善できるという十分なエビデンスはないことが示された。Visual Analogue Scale(VAS:MD=-1.33、95%信頼区間(95%CI)-3.30~0.64、P=0.18、ランダム効果モデル)。また、ツボ押し治療の有効性を評価したところ、非特異的慢性腰痛に対するツボ押し治療の有効率が向上することが示された(OR=3.64、95%信頼区間(CI)2.4~5.21、P<0.0001、固定効果モデル)。

結論

 経穴注射療法がNCLBP患者の疼痛を改善できることを示す証拠は不十分である。しかし、方法論的な質の低さと臨床的な不均一性から、エビデンスのレベルは「非常に質が低い」に格下げされた。この結果は慎重に解釈すべきである。NCLBPに対するツボ押し注射の有効性を評価するためには、より適切な比較、より客観的なアウトカム指標、十分なフォローアップ期間を備えた、より質の高いRCTが必要である。

 

所感

 「Acupoint Injection」を翻訳機にかけると「アキュポイント注射」となり、何のことだろうと調べてみるとどうや「経穴に注射する」手技のようです。

 経穴とトリガーポイントは一致することが多いという研究もあり、個人的には経穴を覚えていくのも大変なのでトリガーポイント注射を続けると思います。