家庭医療と痛みの診察室

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慢性的な痛みにマグネシウムが効くかは何とも言えない(システマティックレビュー)

成人の慢性疼痛管理におけるマグネシウムの有効性と安全性。システマティックレビュー

Park R, Ho AM, Pickering G, Arendt-Nielsen L, Mohiuddin M, Gilron I. Efficacy and Safety of Magnesium for the Management of Chronic Pain in Adults: A Systematic Review. Anesth Analg. 2020 Sep;131(3):764-775. doi: 10.1213/ANE.0000000000004673. PMID: 32049671.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 慢性疼痛は非常に蔓延している複雑な健康問題であり、症状の負担が大きく、経済的・社会的影響が大きい上に、効果の高い治療法がほとんどないという問題を抱えている。本レビューでは、慢性疼痛におけるマグネシウムの有効性と安全性に関するエビデンスを検討する。

方法

 International Prospective Register of Systematic Reviews(PROSPERO)、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)のデータベースに登録されており、2018年9月まで検索を行った。参加者が報告した疼痛尺度を用いてマグネシウム(任意の用量、頻度、投与経路で)とプラセボを比較した無作為化比較試験(RCT)を対象とした。

対象

 418人の参加者を含む合計9件のRCTが含まれた。3件の研究では神経障害性疼痛(62名)、3件の研究では片頭痛(190名)、2件の研究では複合型局所疼痛症候群(86名)、1件の研究では神経障害を伴う腰痛(80名)が対象となった。

結果

 対象となった研究の不均一性により、メタアナリシスは行われなかった。有害事象の報告に一貫性がなかったため、安全性についての判断はできなかった。登録された研究からの鎮痛薬の有効性の証拠は曖昧であった。しかし、いくつかの試験で報告された有効性のシグナルは、より確定的な研究を行う根拠となるものであった。

結論

 今後、測定感度が良く、安全性の評価と報告が改善された大規模な試験が行われ、最適なバイオアベイラビリティを有する製剤に注意を払うことで、慢性疼痛の管理におけるマグネシウムの役割をより明確にすることができるであろう。

 

所感

 マグネシウム製剤が慢性疼痛に効果があるのか、安全性はあるのかを調べたシステマティックレビューです。結論としては何とも言えないというものでした。マグネシウム製剤は便秘やこむら返りの際にも使われることがありますが、痛みとの関連について機会があれば掘り下げてみます。