家庭医療と痛みの診察室

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イブプロフェンの塗り薬はピロキシカムよりも効く(無作為化二重盲検試験)

外傷性疼痛治療におけるイブプロフェンピロキシカムゲルの比較。老人集団を対象とした無作為化二重盲検試験

Dogruyol S, Kocak AO, Akbas I, Menekse TS, Gur STA, Dogruyol T, Cakir Z. Comparison of ibuprofen and piroxicam gel in the treatment of trauma pain: A randomized double-blind trial of geriatric population. Am J Emerg Med. 2020 Aug 17:S0735-6757(20)30737-3. doi: 10.1016/j.ajem.2020.08.041. Epub ahead of print. PMID: 33041145.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 本研究は、急性筋骨格系損傷に対するイブプロフェン外用薬とピロキシカム外用薬の鎮痛効果を比較することを目的とした。

方法

 この前向き無作為化二重盲検比較試験では、老年患者をイブプロフェン外用薬(n=70)またはピロキシカム外用薬(n=69)のいずれかの投与群に割り付けた。各患者について、最初のベースラインの視覚アナログスケール(VAS)スコア(V0)を60分(V1)、120分(V2)、24時間(V3)、72時間(V4)の時点でのVASスコアと比較した。VASスコアの低下、治療法の臨床効果、有害事象の発生率を評価した。

結果

 イブプロフェン外用薬群では、各測定時間点において、ベースラインと比較してVASスコアが有意に低下した(p<0.001)。結果は以下の通りであった。V0 -V:1.08、95%CI:0.56-1.61;V0 -V2。1.09、95%CI:0.49〜1.69;V0 -V3:1.44、95%CI:0.81〜2.07;V0 -V4:1.59、95%CI:0.91〜2.26であった。イブプロフェン外用薬群のVASスコアの減少率の平均値は、ピロキシカム外用薬群よりも有意に高かった(p<0.001)。治療の臨床効果は、イブプロフェンゲル群の方が有意に高いことがわかった(p<0.001)。治療関連有害事象については、両群間で有意差はなかった(p>0.05)。

結論

 イブプロフェンゲルは、老人患者にとって安全な治療選択肢であり、ピロキシカムゲルよりも臨床的に有効である。

 

所感

 調べた限りイブプロフェンゲルは日本にありませんでした。イブプロフェンを主成分とする軟膏・クリーム製剤は「スタデルム」・「ベシカム」としてありますが、こちらの適応は皮膚炎となっております。

 ピロキシカムは内服薬としては1日1回タイプとなり、外用としては軟膏があります。イブプロフェン軟膏と違い、こちらの適応は変形性関節症などの筋骨格系疼痛になります。

 適応外ではありますが、イブプロフェン軟膏を筋肉痛に使うとどうなるか興味が沸いてきます。

 

参考

family-painclinic.hateblo.jp