家庭医療と痛みの診察室

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首や腰の筋膜性疼痛に体外衝撃波治療が効果的

頸部および上部腰部筋膜性疼痛の治療における体外衝撃波治療と標準治療の効果:単盲検無作為化臨床試験

Rahbar M, Samandarian M, Salekzamani Y, Khamnian Z, Dolatkhah N. Effectiveness of extracorporeal shock wave therapy versus standard care in the treatment of neck and upper back myofascial pain: a single blinded randomised clinical trial [published online ahead of print, 2020 Jul 30]. Clin Rehabil. 2020;269215520947074. doi:10.1177/0269215520947074

目的

 頸部および上部腰部筋膜性疼痛症候群の治療における体外衝撃波治療と標準治療(超音波+ホットパック+自己ストレッチエクササイズ)の有効性を比較すること。

デザイン

 単盲検無作為化臨床試験

設定

 外来患者の設定。 被験者。頸部および上部腰部の筋膜性疼痛を有する患者。

介入

 参加者を衝撃波群(n=24)、標準ケア(超音波+ホットパック+自己ストレッチ運動)群(n=24)、対照群(自己ストレッチ運動)群(n=24)に無作為に4週間割り付けた。

主要評価項目

 主要アウトカムは、疼痛強度(ビジュアルアナログスケール)、疼圧閾値(アルゴメーター)、障害(頸部障害指数)であった。測定はベースライン(0週目)、1週目、介入後(4週目)に実施した。

結果

 衝撃波と超音波により、視覚アナログスケール(7.50±1.71→5.72±2.20、6.22±2.54→4.95±2.86、それぞれP=0.083)と障害指標(54.24±15.53→39.04±19.58 50.23±19.57→32.10±18.34、それぞれP=0.495)は、対照よりも有意に高い値を示した1週目の測定でも同様に改善された(P<0.05)。4週目の測定では、衝撃波(それぞれ-4.00±2.22、-20.24±16.56)群と超音波(それぞれ-2.18±2.71、-21.79±10.56)群で、視覚的アナログスケールと障害指数についてさらに改善がみられた。しかし、4週目の測定では、衝撃波群の方が超音波群よりも視覚アナログスケールの方が有意に改善した(P = 0.012)。

結論

 体外衝撃波治療は、治療後1ヶ月後の痛みの強さのコントロールに超音波治療よりも効果的であった。しかし、この時点での頚部障害指数の改善には超音波に対する優位性はなかった。

 

所感

 虚血圧迫法、プロロセラピー、そしてこの体外衝撃波治療。ペインクリニック専門医試験では出題が無かった治療法が目白押しです。世の中には怪しい治療法が跋扈していますが、少なくともこれらの治療についてはしっかり研究がなされております(研究の質はともかく)。

 痛みの治療も日進月歩の世界であり、しっかりキャッチアップをしなければいけませんね。

 

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